
この図の解説
図では、神経細胞体から長く伸びた軸索の内部を拡大し、その中を物質が両方向へ運ばれるようすを示している。まず注目すべきは、軸索の中央を貫く黄色い管状の構造=微小管である。これが物質を運ぶレール(軌道)となり、その上をモータータンパク質が荷物を担いで移動する。上段は神経細胞体から軸索末端へ向かう順行性軸索輸送で、担い手はキネシンである。運ばれる荷物はミトコンドリアなどの細胞小器官、シナプス小胞、タンパク質などで、末端での興奮伝達に必要な材料が供給される。下段は逆向き、軸索末端から神経細胞体へ戻る逆行性軸索輸送で、担い手はダイニンである。こちらは老廃物や末端で取り込まれた物質を細胞体へ回収する。図下の吹き出しが要点で、軸索にはタンパク質を合成するリボソームが存在しないため、神経伝達物質やタンパク質は細胞体でつくり、軸索輸送によって末端まで届ける必要がある、という因果関係を押さえたい。
学習の要点
- 軸索輸送は微小管をレールに、モータータンパク質が物質を運ぶしくみ。方向で順行性(細胞体→末端)と逆行性(末端→細胞体)に分かれる。
- 覚え方のコツ: 「行きはキネシン、帰りはダイニン」。キ**ネ**シンの"ネ"を出発点(細胞体)から末端へ「行く」、ダイニンは「戻る」と紐づけて方向を固定する。
- 関連知識: 順行性で運ばれるシナプス小胞やミトコンドリアは、シナプスでの神経伝達物質の放出や末端のエネルギー供給に使われる。
- よくある間違い: 軸索でもタンパク質を自前で合成できると考えてしまう。軸索にはリボソームがなく合成できないため、輸送に依存する点が要。
- 臨床応用: 逆行性輸送は破傷風毒素や狂犬病ウイルスなどが末端から細胞体・中枢へ侵入する経路にもなり、神経を介した病原体の伝播に関わる。
比較表
確認問題(その場で確認・記録には残りません)
軸索の内部で軸索輸送のレール(軌道)となり、その上をモータータンパク質が移動する細胞骨格を( )という。
答えを見る
答え: 微小管
※ 確認問題はその場の理解確認用で、復習スケジュール(FSRS)には記録されません。