
この図の解説
図は下垂体後葉(神経性下垂体)でホルモンが分泌されるまでの流れを、①→②→③の3段階で追っている。まず注目すべきは上部の視床下部で、緑とオレンジで示された室傍核・視索上核の神経細胞がオキシトシンとバソプレッシンを産生する(①)。ここが「合成の場」である点が最大の見どころで、後葉そのものではホルモンは作られない。次に黄色い神経線維(軸索)が漏斗を通って下方へ長く伸び、色付きの矢印がホルモンの移動方向を示す。これが軸索輸送で、合成されたホルモンが下垂体後葉まで運ばれる(②)。最下部では軸索の末端が後葉の毛細血管網に達し、ここでホルモンが血中へ放出される(③)。図の左下に白く描かれた前葉と対比され、後葉には腺細胞(分泌する上皮細胞)がなく、視床下部の神経細胞がそのまま神経分泌を行う点を確認したい。後葉から出るホルモンはオキシトシンとバソプレッシンの2つだけである。
学習の要点
- 後葉ホルモン(オキシトシン・バソプレッシン)は視床下部の視索上核・室傍核で合成され、軸索輸送で後葉に運ばれて放出される(神経分泌)。後葉自体は貯蔵・放出の場にすぎない。
- 覚え方のコツ: 「後葉=配送センター、視床下部=工場」。作るのは上(視床下部)、出すのは下(後葉)。後葉に腺細胞は「無い」。
- 関連知識: バソプレッシンは腎臓(集合管)で水の再吸収を促進し尿量を減らすため抗利尿ホルモン(ADH)と呼ばれ、オキシトシンは子宮と乳腺の平滑筋を収縮させ、陣痛促進剤に用いられる。
- よくある間違い: 「後葉が後葉ホルモンを作る」は誤り。合成は視床下部の神経核。前葉ホルモンと混同しないこと(前葉は上皮性の腺細胞が分泌)。
- 臨床応用: バソプレッシン分泌・作用が低下すると水の再吸収ができず多量の薄い尿が出る尿崩症となる。
比較表
確認問題(その場で確認・記録には残りません)
バソプレッシンは腎臓の集合管での水の( )を促進し、その結果尿量が減少するため( )とも呼ばれる。空欄に入る語を答えよ。
答えを見る
答え: 再吸収、抗利尿ホルモン(ADH)
※ 確認問題はその場の理解確認用で、復習スケジュール(FSRS)には記録されません。