
この図の解説
図はホルモンが標的細胞に作用する2つの様式のうち、水溶性ホルモンの経路を示している。まず注目したいのは受容体の位置だ。水溶性ホルモンは脂質二重層でできた細胞膜を通過できないため、受容体は細胞の外に顔を出した「細胞膜上」に置かれている。血中を流れてきたホルモンがこの膜受容体に結合すると、①受容体がGタンパクを刺激し、②活性化したGタンパクがアデニル酸シクラーゼを活性化する。③この酵素がATPからcAMP(環状AMP)をつくり、cAMPが細胞内へ信号を運ぶセカンドメッセンジャーとなる。④cAMPはプロテインキナーゼを活性化し、⑤活性化した酵素が標的タンパク質をリン酸化して代謝応答を引き起こす。ホルモン自身は膜を越えず、細胞内の情報伝達物質を介して間接的に作用を発揮する点が核心である。
学習の要点
- 水溶性ホルモンは細胞膜を通過できないため、受容体は細胞膜の表面(膜受容体)に存在する。
- 覚え方のコツ: 「水は膜を通れない→鍵穴は外側」。ホルモン→G タンパク→アデニル酸シクラーゼ→cAMP→プロテインキナーゼの順で信号が伝わる。
- 関連知識: 水溶性ホルモンにはペプチド・タンパク質系(インスリン、グルカゴン、下垂体前葉ホルモン、ADH)やアミン系のアドレナリンが含まれる。
- よくある間違い: cAMPはホルモンそのものではなく、細胞内でつくられる二次的な伝達物質(セカンドメッセンジャー)である。
- 臨床応用: アドレナリンなどのカテコールアミンは膜受容体を介して素早く作用し、効果が比較的速やかに現れる。
比較表
確認問題(その場で確認・記録には残りません)
図の順序で、活性化したGタンパクが刺激し、ATPからcAMPを産生させる酵素は( )である。
答えを見る
答え: アデニル酸シクラーゼ
※ 確認問題はその場の理解確認用で、復習スケジュール(FSRS)には記録されません。