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理由で解く 生理学

Q0415 排泄

出典:鍼灸 第13回(2005) 問題41
問題
高温環境下で起こりにくいのはどれか。
選択肢
1 発 汗
2 バゾプレッシン分泌の減少
3 皮膚血管の拡張
4 アルドステロン分泌の増加
解答
正解2(バゾプレッシン分泌の減少)
解説

高温環境下で体温を保とうとするとき、からだは「熱を逃がす反応」と「失われる水と塩分を守る反応」をそろって起こす。発汗・皮膚血管の拡張・アルドステロン分泌の増加はいずれも実際に起こるが、バゾプレッシン(抗利尿ホルモン)は発汗で水を失うほど分泌が増えるので、「分泌の減少」は起こりにくく2が正解となる。

高温環境ではまず皮膚の血管が広がって皮膚に流れる血液を増やし、体内の熱を体表から逃がす。それでも足りなければ汗をかき、汗が蒸発するときに熱を奪わせて体温を下げる。ただし発汗は水とナトリウムを同時に失う行為でもあり、高度な発汗が続くと体液量が減って細胞外液は高浸透圧(濃い状態)になる。この状態では口渇が強まるとともに、下垂体後葉から出るバゾプレッシン(抗利尿ホルモン)の分泌が促され、腎で水の再吸収が進んで尿量が減る。ナトリウムを保つ側は副腎皮質から出るアルドステロンが担い、その分泌が増えることで腎からのナトリウム喪失を抑える。なお、大量に汗をかいたあとに水だけを補給すると、今度は細胞外液が低張となるナトリウム欠乏の脱水症(二次的脱水症)となり、このときは逆に抗利尿ホルモンの分泌が抑制される。ただしこれは水分の補給の仕方によってあとから生じる段階の話であり、高温環境に置かれたときの体温・体液調節反応そのものとは分けて覚える。つまり「放熱を増やす反応(発汗・皮膚血管拡張)」と「体液を守る反応(バゾプレッシン増加・アルドステロン増加)」はセットで動くと理解しておくと、この型の問題は迷わない。

✗ 1. 正しい
発 汗
高温環境で体温を下げる主役が発汗である。汗が蒸発するときに気化熱としてからだの熱を奪うため、高温環境下では確実に起こる反応で、「起こりにくいもの」には当たらない。
✓ 2. 誤り
バゾプレッシン分泌の減少
高度な発汗で水分が失われると細胞外液が高浸透圧になり、口渇が強まるとともに抗利尿ホルモン(バゾプレッシン)の分泌が促されて尿量が減る。高温環境下で起こるのは分泌の「増加」であり、「減少」は起こりにくいので、これが本問の答えとなる。
✗ 3. 正しい
皮膚血管の拡張
皮膚の血管が広がると皮膚血流が増え、体内の熱が体表へ運ばれて外へ逃げやすくなる。発汗より先に働く放熱のしくみであり、高温環境下では起こる反応である。
✗ 4. 正しい
アルドステロン分泌の増加
アルドステロンは副腎皮質から分泌され、腎でのナトリウム再吸収を促すホルモンである。発汗で水とナトリウムを失う高温環境下では分泌が増え、体液量と電解質を保つ方向に働く。
ポイント
  • 高温環境下では「放熱を増やす反応」=皮膚血管の拡張と発汗が起こる。
  • 発汗で水分が失われると細胞外液が高浸透圧となり、口渇が強まって抗利尿ホルモン(バゾプレッシン)の分泌が促され、尿量が減る。
  • バゾプレッシンは下垂体後葉から分泌される抗利尿ホルモンで、分泌が不足すると中枢性尿崩症となる(腎側が反応しない場合は腎性尿崩症)。
  • アルドステロンは副腎皮質から分泌され、ナトリウムを保つ方向に働くため、大量発汗時には分泌が増える。
  • 高温環境に置かれた直後は水分が減る一次的脱水症で、抗利尿ホルモンの分泌は増える。分泌が抑制されるのは、大量発汗のあと水だけを補給して細胞外液が低張になった二次的脱水症(ナトリウム欠乏)の段階で、本問が問う高温環境下の体温・体液調節反応とは場面が異なる。
  • 重要用語: バゾプレッシン(抗利尿ホルモン), アルドステロン, 細胞外液の浸透圧 を正確に理解しておくこと。
比較表
高温環境下の反応担い手目的方向
皮膚血管の拡張自律神経性の血管調節皮膚血流を増やして体表から熱を逃がす起こる
発汗汗腺汗の蒸発(気化熱)で体温を下げる起こる
バゾプレッシン(抗利尿ホルモン)分泌下垂体後葉水の再吸収を進めて尿量を減らし、体液量を保つ増加する(減少は起こりにくい)
アルドステロン分泌副腎皮質ナトリウムの再吸収を進めて電解質と体液量を保つ増加する
解説画像
鍼灸 第13回(2005) 問題41|高温環境下で起こりにくいのはどれか。 解説図
鍼灸 第13回(2005) 問題41|高温環境下で起こりにくいのはどれか。
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