学習トップ / 理由で解く 生理学 / 第2章 ▸ B. 止血 / Q0121

理由で解く 生理学

Q0121 循環

出典:鍼灸 第15回(2007) 問題31
問題
出血時の血液の変化で誤っているのはどれか。
選択肢
1 流動性消失
2 フィブリノゲンが血球を捕捉
3 血餅の退縮
4 血餅からの血漿の滲出
解答
正解2(フィブリノゲンが血球を捕捉) または 4(血餅からの血漿の滲出) 〈複数正答:いずれも正解〉
解説

出血した血液が固まって止血が完成するまでの流れ(凝固によるフィブリン網の形成=血餅の形成 → 血餅の退縮)を問う設問です。赤血球などをからめ取る網をつくるのは可溶性のフィブリノゲンではなく、変換後の不溶性フィブリンです。また退縮した血餅から押し出されてくる液体は、凝固でフィブリノゲンなどが使われた後の「血清」であって血漿ではありません。なお本問は複数正答の措置がとられ、2と4のどちらを選んでも正解とされました。

止血は、破損した血管の収縮 → 血小板の付着凝集による破損部の被覆 → 凝固作用によるフィブリン網(線維素網)の形成、という順で進んで完成します。凝固の最終段階では、プロトロンビンからトロンビンがつくられ、そのトロンビンが可溶性のフィブリノゲン(線維素原)を不溶性のフィブリン(線維素)に変えます。できあがったフィブリンの網目が赤血球などの血球をからめ取り、ゼリー状のかたまり(血餅)となるため、血液は流動性を失います。さらに、血餅の中に取り込まれた血小板が収縮することで網目全体が縮み、中の液体が絞り出されます。これが血餅の退縮で、血小板は「付着・凝集」と「退縮」の二度はたらくことになります。絞り出された液体はフィブリノゲンなどの凝固因子が使われた後のものなので血漿ではなく血清であり、「血漿からフィブリノゲンなどの凝固因子が抜けたものが血清」という関係をおさえると、選択肢2と4の誤りが同時に見抜けます。

✗ 1. 正しい
流動性消失
フィブリンの網目が血球をからめ取ってゼリー状の血餅になるため、血液はさらさら流れる性質(流動性)を失います。これは凝固が起こったことを示す最も基本的な変化で、出血時に実際に起こる変化です。したがって誤りを問う本設問では選ぶ肢になりません。
✓ 2. 誤り
フィブリノゲンが血球を捕捉
フィブリノゲン(線維素原)は血漿に溶けている前駆物質で、可溶性のままでは線維素網という網目をつくることができません。赤血球などをからめ取る網をつくれるのは、トロンビンの作用でフィブリン(線維素)に変換されたあとの不溶性の線維です。「網をつくって血球を捕捉するのはフィブリン、そのもとになるのがフィブリノゲン」と役割を分けて覚えましょう。
✗ 3. 正しい
血餅の退縮
いったんできた血餅は、内部に取り込まれた血小板が収縮することでフィブリンの網目が縮み、中の液体を絞り出しながら傷口を引き寄せます。この変化を血餅の退縮といい、出血時に実際にみられる変化なので誤りではありません。
✓ 4. 誤り
血餅からの血漿の滲出
血餅が退縮したときに押し出されてくる液体は血清であって、血漿ではありません。血漿にはフィブリノゲンが含まれますが、凝固の過程でそれが消費されてフィブリンに変わっているため、絞り出された液には残っていないからです。「血漿-フィブリノゲンなどの凝固因子=血清」という差を意識すると区別できます。
ポイント
  • 止血の順序は「血管の収縮 → 血小板の付着凝集 → 凝固によるフィブリン網の形成」。
  • 凝固の最終段階はプロトロンビン→トロンビン、トロンビンがフィブリノゲンをフィブリンに変換する。
  • 血球を捕らえて血餅をつくり、血液の流動性を失わせるのはフィブリン(線維素)であり、可溶性のフィブリノゲンではない。
  • 血餅の退縮は、血餅の中の血小板が収縮して起こる。血小板は付着・凝集と退縮の二度はたらく。
  • 血餅が退縮して絞り出される液体は血清。血漿から凝固に使われた成分(フィブリノゲンなど)が抜けたものが血清。
  • 重要用語: フィブリノゲン, フィブリン, トロンビン, 血小板, 血餅, 血清 を正確に理解しておくこと。
比較表
用語状態・正体出血時の役割
フィブリノゲン(線維素原)血漿に溶けている可溶性の前駆物質トロンビンによってフィブリンに変換される前段階の物質
フィブリン(線維素)不溶性の線維。網目(線維素網)をつくる血球を捕捉して血餅をつくり、流動性を失わせる
血小板血液の有形成分の一つ。収縮する力をもつ破損部に付着・凝集して被覆し、血餅の中で収縮して退縮を起こす
血漿血液から血球を除いた液体。フィブリノゲンを含む凝固前の液性成分
血清血漿からフィブリノゲンなど凝固に使われた成分が抜けた液体血餅の退縮にともなって滲み出す液体
解説画像
鍼灸 第15回(2007) 問題31|出血時の血液の変化で誤っているのはどれか。 解説図
鍼灸 第15回(2007) 問題31|出血時の血液の変化で誤っているのはどれか。
この問題の解説の修正を依頼する

解説に誤り・改善点があればお知らせください。件名と本文は自動入力済みです(編集できます)。お名前・メールアドレスは任意です。送信内容は玄康株式会社(黒澤一弘)に届きます。

この問題をアプリで理由で解く 生理学
App Store入手