学習トップ / 理由で解く 生理学 / 第1章 ▸ C. 物質代謝 / Q0032

理由で解く 生理学

Q0032 生理学の基礎

出典:あマ指 第13回(2005) 問題45
問題
ATP生成の材料にならないのはどれか。
選択肢
1 脂肪酸
2 ビタミンE
3 ピルビン酸
4 グルコース
解答
正解2(ビタミンE)
解説

ATPは、エネルギー源となる三大栄養素(炭水化物〈糖質〉・脂質・たんぱく質)やその分解産物が分解される過程でつくられる。ビタミンEは微量で体の働きを調節するビタミンで三大栄養素に含まれず、ATPをつくる材料とならないため、これが答えとなる。

栄養素の働きは、(1) エネルギー源となる、(2) 体の構成成分となる、(3) 体の調節を行う、の3つに大別される。このうちATPの材料となるのは(1)を担う三大栄養素とその分解産物で、五大栄養素の残り二つであるビタミンとミネラル(無機質)は(2)(3)を担う調節側にまわる。つまり「エネルギーを生み出す材料(三大栄養素とその分解産物)」と「反応を助け調節する物質(ビタミン・ミネラル)」で線を引けば、ビタミンEだけが仲間はずれだと見抜ける。ただしビタミンが代謝と無関係なわけではなく、ビタミンB群は補酵素(酵素のはたらきを助ける物質)として糖や脂質の代謝反応を進める側にまわる(ビタミンB1が不足すると糖の代謝が滞り、脚気を起こす)。本問が問うのは「分解されてATPとなる材料か」であって「代謝に関与するか」ではない、という線引きが得点につながる。

✗ 1. 正しい
脂肪酸
脂肪酸は、栄養素としての脂質(中性脂肪)が分解されてできる物質で、β酸化を受けてミトコンドリアでの最終的なATP産生の経路に入る。脂質は飢餓時や持久的な運動時に主要なエネルギー源となる。ATPをつくる材料となるので、これは答えとならない。
✓ 2. 誤り
ビタミンE
ビタミンEは、水に溶けない脂溶性ビタミン(A・D・E・K)の一つで、体内でほとんど合成できず微量で生体機能を調節する有機化合物である。欠乏では未熟児の溶血性貧血が知られるが、これはエネルギー産生とは別の話である。ビタミンは三大栄養素に含まれずエネルギー源とならないため、ATPをつくる材料とはならず、これが答えとなる。
✗ 3. 正しい
ピルビン酸
ピルビン酸は、グルコースが解糖によって分解されてできる物質で、酸素が十分にあればミトコンドリアに入ってさらに分解され、ATP産生に使われる。エネルギー産生経路の途中にある物質そのものなので、ATPをつくる材料の一つである。
✗ 4. 正しい
グルコース
グルコースは糖質の代表で、解糖でピルビン酸まで分解され、酸素が十分にあるときはミトコンドリアに入ってさらに分解され、多くのATPを生み出す。脳はふだんグルコースをおもなエネルギー源とし、赤血球はミトコンドリアを持たないため解糖だけでATPを得ている(このとき生じるピルビン酸は乳酸となり、得られるATPは少ない)。もっとも基本的なエネルギー源で、ATPをつくる材料となる。
ポイント
  • 栄養素の働きは (1) エネルギー源となる (2) 体の構成成分となる (3) 体の調節を行う の3つ。ATPの材料となるのは (1) を担う三大栄養素(炭水化物〈糖質〉・脂質・たんぱく質)とその分解産物である。
  • 五大栄養素=三大栄養素+ビタミン・ミネラル(無機質)。ビタミンとミネラルは三大栄養素に含まれず、エネルギー源とはならない。
  • グルコース → 解糖 → ピルビン酸 → ミトコンドリアでの分解、という流れ。脂肪酸はβ酸化を受けて同じ最終段階の経路に合流する。この流れの上にある物質はATPの材料となる。
  • 赤血球はミトコンドリアを持たず、解糖だけでATPを得る(ピルビン酸は乳酸となる)。脳はふだんグルコースをおもなエネルギー源とする。
  • ビタミンB群は補酵素として代謝反応を進める側にまわる(B1欠乏=脚気)。「ATPの材料となるか」と「代謝に関与するか」は別の問いである。
  • 重要用語: ATP, 三大栄養素, 五大栄養素, 解糖, 補酵素 を正確に理解しておくこと。
比較表
栄養素三大栄養素か主な働きATPの材料となるかこの問での代表例
炭水化物(糖質)○主要なエネルギー源なる(解糖からミトコンドリアでの分解へ)グルコース・ピルビン酸
脂質○エネルギー源・細胞膜や生理活性物質の材料なる(β酸化で同じ経路に合流)脂肪酸(中性脂肪の分解産物)
たんぱく質○体構成成分(筋・酵素・抗体など)・エネルギー源なるアミノ酸
ビタミン×体の機能を調節する微量の有機化合物(B群は補酵素として代謝を助ける)ならないビタミンE(脂溶性)
ミネラル(無機質)×骨・歯の構成、体液の浸透圧や酸塩基平衡の調節ならないカルシウム・鉄・ナトリウムなど
解説画像
あマ指 第13回(2005) 問題45|ATP生成の材料にならないのはどれか。 解説図
あマ指 第13回(2005) 問題45|ATP生成の材料にならないのはどれか。
この問題の解説の修正を依頼する

解説に誤り・改善点があればお知らせください。件名と本文は自動入力済みです(編集できます)。お名前・メールアドレスは任意です。送信内容は玄康株式会社(黒澤一弘)に届きます。

この問題をアプリで理由で解く 生理学
App Store入手