
この図の解説
この図は、蓄便と排便を調節する3系統の神経を1枚にまとめたもの。左の紫が交感神経で、腰髄から出た内臓神経が下腸間膜動脈神経叢を経て下腹神経となる。中央の緑・黄は副交感神経で、仙髄から出た骨盤内臓神経。右のオレンジは体性神経で、同じく仙髄から出る陰部神経である。着目点は、各神経が肛門括約筋と直腸・結腸の平滑筋につけた(+)(−)の符号。下腹神経は内肛門括約筋を収縮(+)させ、結腸・直腸の平滑筋を弛緩(−)させて便をためる(蓄便)。骨盤内臓神経は内肛門括約筋を弛緩(−)させ、直腸平滑筋を収縮(+)させて便を出す(排便)。陰部神経は横紋筋である外肛門括約筋を収縮させ、随意的に排便を我慢する。右上へ抜ける矢印は、直腸壁の伸展が大脳皮質へ便意として伝わる求心路。まず「交感=蓄便、副交感=排便」をつかむと、表全体が一気に読める。
学習の要点
- 蓄便は交感神経(下腹神経)、排便は副交感神経(骨盤内臓神経)が主役で、両者は括約筋と直腸平滑筋に正反対の作用を及ぼす。
- 覚え方のコツ: 「交感で締めてためる/副交感でゆるめて出す」。内肛門括約筋は交感で収縮(+)・副交感で弛緩(−)と符号が逆になる。
- 関連知識: 内肛門括約筋は平滑筋で不随意(反射的)、外肛門括約筋は横紋筋で随意という区別は大腸の筋層の記述と直結する。前者は反射的に、後者は随意的に肛門を開閉する。
- よくある間違い: 外肛門括約筋を自律神経支配と誤る、あるいは陰部神経を内肛門括約筋の支配神経と取り違える。外肛門括約筋を締めるのは陰部神経(体性運動神経)。
- 臨床応用: 便意は直腸壁の伸展が求心路を介して大脳皮質へ届いて生じる。我慢は陰部神経を介した外肛門括約筋の随意収縮で行い、この随意調節が破綻すると便失禁につながる。
比較表
確認問題(その場で確認・記録には残りません)
横紋筋である外肛門括約筋を随意的に収縮させ、排便を我慢するときに働く体性運動神経は「( )神経」である。
答えを見る
答え: 陰部
※ 確認問題はその場の理解確認用で、復習スケジュール(FSRS)には記録されません。