
この図の解説
腹壁を後方からめくり、後腹壁を走る神経を一望した図である。上部には交感神経幹と腹腔神経叢、外側には肋下神経・腸骨下腹神経・腸骨鼠径神経が肋骨弓の下から斜めに下り、下部では外側大腿皮神経・大腿神経・閉鎖神経・陰部大腿神経が骨盤壁に沿って鼠径部へ向かう。まず見るべきは、これらの枝が最終的に集まる下腹部の「鼠径管」である。図の下方中央では精索が鼠径管を通って陰嚢へ下り、精巣へ連なる。生殖器系として重要なのは、この鼠径管を通過する構造の中身だ。男性では精管を含む精索が、女性では子宮円索が鼠径管を通る。精管は精巣上体から陰嚢内を上行し、鼠径管を抜けて骨盤内に入るまで、血管・神経とともに結合組織で束ねられ、ヒモ状の精索を形成する。図で神経が集まる鼠径部が、精子の通り道の出入り口でもあることを重ねて理解したい。
学習の要点
- 鼠径管を通る生殖器系の構造は、男性では精索(=精管+血管+神経の束)、女性では子宮円索である。神経叢の枝が集まるこの部位が精路の関門でもある。
- 覚え方のコツ: 「男は精索・女は円索、どちらも鼠径管を抜ける」。精索は精管+伴走する血管・神経を結合組織でまとめたヒモと押さえる。
- 関連知識: 精巣は胎生初期に腎臓と同じ高さに発生し、成長とともに下降して胎生後期に鼠径管を通り陰嚢に入る(精巣下降)。子宮円索は鼠径管を抜けて大陰唇の皮下に至り、子宮を前傾位に固定する。
- よくある間違い: 精索そのものが精子をつくると誤解しやすいが、精子をつくるのは精巣(精細管)で、精索は通り道と支持組織にすぎない。
- 臨床応用: 精巣下降後も腹腔との交通が閉じずに残ると、鼠径管に小腸などが入り込み鼠径ヘルニアを生じる。停留睾丸では精巣が陰嚢に達せず精子形成が阻害される。
比較表
確認問題(その場で確認・記録には残りません)
精巣上体を離れた精管は陰嚢内を上行し、( )を通って骨盤内に入る。この通路を血管・神経とともに束ねられて通る構造を精索という。空欄に入る語を答えよ。
答えを見る
答え: 鼠径管
※ 確認問題はその場の理解確認用で、復習スケジュール(FSRS)には記録されません。