学習トップ理由で解く 臨床医学各論第11章 ▸ H. 運動ニューロン疾患 / Q1183

理由で解く 臨床医学各論

Q1183 神経疾患

出典:鍼灸 第33回(2025) 問題70
問題
筋萎縮性側索硬化症でよくみられるのはどれか。
選択肢
1 膀胱直腸障害
2 眼球運動障害
3 嚥下障害
4 褥瘡
解答
正解3(嚥下障害)
解説
✗ 1. 誤り
膀胱直腸障害
膀胱直腸障害はALSの陰性4徴候の一つであり、通常みられない。 自律神経系が保たれるため排尿・排便機能は末期まで維持される。仙髄のオヌフ核が選択的に温存されることが、膀胱直腸障害を免れる理由である。
✗ 2. 誤り
眼球運動障害
眼球運動障害はALSの陰性4徴候の一つであり、通常みられない。 外眼筋を支配する動眼・滑車・外転神経核は保たれる。人工呼吸器装着下の10年以上の超長期生存例でのみ障害されうるとされる。
✓ 3. 正しい
嚥下障害
嚥下障害はALSでよくみられる球麻痺症状である。 延髄の運動ニューロン(舌下神経核・疑核など)が障害されることで咽頭・喉頭・舌の筋群が麻痺し、嚥下困難をきたす。球麻痺は約25%の症例で初発症状となり、食事時のむせやろれつ不良として気づかれる。補助呼吸を行わなければ発病後平均3年で死亡し、球麻痺型では1~2年で死亡する。
✗ 4. 誤り
褥瘡
褥瘡はALSの陰性4徴候の一つであり、通常みられない。 感覚が保たれ皮膚の栄養障害も少ないため、褥瘡は生じにくい。これは脊髄損傷や脳血管障害による長期臥床患者と異なる点である。
ポイント
  • ALSの陰性4徴候は「感覚障害・膀胱直腸障害・眼球運動障害・褥瘡」であり、この4つを確実に覚えておけばALSの問題の多くに対応できる
  • 嚥下障害・構音障害(球麻痺)はALSの重要な陽性所見であり、呼吸筋麻痺とともに予後を左右する
  • 発症後の平均生存期間は約3年であり、早期の栄養・呼吸管理が重要
  • 重要用語: ALS, 嚥下障害, 球麻痺, 陰性4徴候, 呼吸筋麻痺 を正確に理解しておくこと。
比較表
ALSの球麻痺症状 機序
嚥下障害 咽頭・喉頭筋の麻痺(疑核障害)
構音障害 舌・口腔筋の麻痺(舌下神経核障害)
舌萎縮・線維束攣縮 舌下神経核の変性
呼吸筋麻痺 横隔膜・肋間筋の麻痺(死因となる)
解説画像
鍼灸 第33回(2025) 問題70|筋萎縮性側索硬化症でよくみられるのはどれか。 解説図
鍼灸 第33回(2025) 問題70|筋萎縮性側索硬化症でよくみられるのはどれか。
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