学習トップ理由で解く 臨床医学各論第11章 ▸ H. 運動ニューロン疾患 / Q1179

理由で解く 臨床医学各論

Q1179 神経疾患

出典:あマ指 第15回(2007) 問題78
問題
筋萎縮性側索硬化症でみられないのはどれか。
選択肢
1 母指球筋の萎縮
2 筋線維束性れん縮
3 膀胱直腸障害
4 深部腱反射亢進
解答
正解3(膀胱直腸障害)
解説
✗ 1.
母指球筋の萎縮
✗ 正しい。母指球筋の萎縮は下位運動ニューロン障害による手内筋萎縮の一つで、ALSでみられる。 上肢遠位部(母指球・小指球・骨間筋)の筋萎縮はALSの初発症状として最も多い(約50%)。手の巧緻運動障害(箸が使えない、ボタンが留められないなど)から気づかれることが多い。
✗ 2.
筋線維束性れん縮
✗ 正しい。筋線維束性攣縮(ファスキキュレーション)は下位運動ニューロン障害の特徴的所見であり、ALSに出現する。 脱神経された筋線維が不随意に収縮することで、安静時に筋表面がぴくぴく動く。筋電図でも確認され、筋萎縮とともにALSの重要な臨床所見である。
✓ 3. 誤り
膀胱直腸障害
膀胱直腸障害はALSの陰性4徴候の一つであり、通常みられない。 ALSでは運動ニューロンが選択的に障害されるが、排尿・排便を制御する自律神経系(仙髄のオヌフ核を含む)は保たれる。膀胱直腸障害がみられる場合は、多系統萎縮症など他の疾患を鑑別する必要がある。
✗ 4.
深部腱反射亢進
✗ 正しい。深部腱反射亢進は上位運動ニューロン障害(錐体路障害)の所見であり、ALSでみられる。 ALSでは上位・下位の両方の運動ニューロンが障害されるため、筋萎縮(下位)と腱反射亢進(上位)が同一肢に共存しうる。この共存がALSの診断上重要な手がかりとなる。
ポイント
  • ALSでは上位運動ニューロン障害(腱反射亢進・バビンスキー徴候)と下位運動ニューロン障害(筋萎縮・線維束攣縮)の両方がみられるが、膀胱直腸障害はみられない
  • 陰性4徴候(感覚障害・膀胱直腸障害・眼球運動障害・褥瘡)はALSの鑑別診断上きわめて重要である
  • 筋萎縮(下位)と腱反射亢進(上位)の同一肢での共存はALS診断の重要な手がかりとなる
  • 重要用語: ALSの陰性4徴候, 膀胱直腸障害, 母指球筋萎縮, 線維束攣縮 を正確に理解しておくこと。
比較表
所見 障害部位 ALSでの出現
母指球筋萎縮 下位運動ニューロン みられる(初発症状として最多)
筋線維束性攣縮 下位運動ニューロン みられる(特徴的所見)
深部腱反射亢進 上位運動ニューロン みられる
膀胱直腸障害 自律神経系 みられない(陰性4徴候)
解説画像
あマ指 第15回(2007) 問題78|筋萎縮性側索硬化症でみられないのはどれか。 解説図
あマ指 第15回(2007) 問題78|筋萎縮性側索硬化症でみられないのはどれか。
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