学習トップ理由で解く 臨床医学各論第11章 ▸ C. 脳・脊髄腫瘍 / Q1098

理由で解く 臨床医学各論

Q1098 神経疾患

出典:鍼灸 第20回(2012) 問題83
問題
難聴を初発症状とすることが多いのはどれか。
選択肢
1 神経膠腫
2 髄膜腫
3 神経鞘腫
4 下垂体腺腫
解答
正解3(神経鞘腫)
解説
✗ 1. 誤り
神経膠腫
神経膠腫(グリオーマ)は神経膠細胞(グリア細胞)由来の脳実質内腫瘍で、星状細胞腫は前頭葉に多く発生する。頭痛・痙攣・性格変化・局所神経症状が初発症状となることが多く、難聴を初発することは稀である。最も悪性度の高い神経膠芽腫では5年生存率が約10%と極めて予後不良である。
✗ 2. 誤り
髄膜腫
髄膜腫はクモ膜表層細胞由来の良性腫瘍であり、成人女性に好発する。発生部位により症状は多様であるが(痙攣・頭痛・局所神経症状など)、難聴を初発症状とすることは少ない。緩徐に発育するため無症状で発見されることもあり、外科的切除で予後良好なことが多い。
✓ 3. 正しい
神経鞘腫
神経鞘腫(シュワン細胞腫)のうち最多の聴神経鞘腫は、第VIII脳神経(主に前庭神経)に発生し、小脳橋角部に位置する。一側性の感音性難聴・耳鳴りが初発症状として最も多く、進行すると同側の顔面神経麻痺(第VII脳神経圧迫)、めまい、小脳症状、水頭症を合併する。MRIでの造影検査が診断に有用である。
✗ 4. 誤り
下垂体腺腫
下垂体腺腫はトルコ鞍内に発生する良性腫瘍であり、ホルモン過剰分泌による内分泌症状(プロラクチノーマによる無月経・乳汁分泌、GH産生腫瘍による先端巨大症など)や、視交叉の圧迫による両耳側半盲が初発症状となる。難聴は下垂体腺腫の症状には含まれない。
ポイント
  • 聴神経鞘腫は小脳橋角部に好発し、前庭神経由来で一側性難聴・耳鳴りが初発症状である
  • 腫瘍が増大すると顔面神経麻痺、小脳症状、水頭症を合併し症状が多彩になる
  • 下垂体腺腫では両耳側半盲、神経膠腫では痙攣・性格変化が初発症状となりやすい
  • 脳腫瘍は発生部位と初発症状の対応関係を整理して覚えることが重要である
  • 重要用語: 聴神経鞘腫, 小脳橋角部, 感音性難聴, 前庭神経 を正確に理解しておくこと。
比較表
脳腫瘍 由来 好発部位 初発症状
神経膠腫 神経膠細胞 前頭葉(星状細胞腫) 頭痛・痙攣・性格変化
髄膜腫 クモ膜表層細胞 傍矢状洞・円蓋部 痙攣・頭痛
神経鞘腫 シュワン細胞 小脳橋角部(聴神経) 一側性難聴・耳鳴り
下垂体腺腫 下垂体前葉細胞 トルコ鞍内 ホルモン異常・両耳側半盲
解説画像
鍼灸 第20回(2012) 問題83|難聴を初発症状とすることが多いのはどれか。 解説図
鍼灸 第20回(2012) 問題83|難聴を初発症状とすることが多いのはどれか。
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