学習トップ理由で解く 臨床医学各論第8章 ▸ E. 形態異常 / Q0708

理由で解く 臨床医学各論

Q0708 整形外科疾患

出典:あマ指 第1回(1993) 問題78
問題
トレンデレンブルグ歩行はどの筋麻痺で起こるか。
選択肢
1 脊柱起立筋
2 大殿筋
3 中・小殿筋
4 大腿四頭筋
解答
正解3(中・小殿筋)
解説
✗ 1. 誤り
脊柱起立筋
脊柱起立筋は脊柱の伸展と姿勢保持を担う筋群であり、上殿神経支配の殿筋とは異なる。脊柱起立筋の麻痺では体幹の伸展が困難となり前屈姿勢をとりやすくなるが、片脚立位時の骨盤安定化には関与せず、トレンデレンブルグ歩行とは直接関係しない。
✗ 2. 誤り
大殿筋
大殿筋は股関節の強力な伸展筋であり、下殿神経(L5-S2)の支配を受ける。大殿筋の麻痺では立ち上がりや階段昇降が困難となり、体幹を後方に反らせて歩く大殿筋歩行を呈する。トレンデレンブルグ歩行の原因となる骨盤の側方安定化には寄与しない。
✓ 3. 正しい
中・小殿筋
中殿筋・小殿筋は股関節の外転筋であり、上殿神経(L4-S1)の支配を受ける。片脚立位時に骨盤を水平に保つ重要な機能を担っており、これらの筋が麻痺すると患側立脚時に健側の骨盤が下降し、体幹が患側に傾く特徴的な動揺歩行を呈する。これがトレンデレンブルグ歩行であり、上殿神経麻痺、先天性股関節脱臼、変形性股関節症などで認められる。
✗ 4. 誤り
大腿四頭筋
大腿四頭筋は膝関節の伸展筋であり、大腿神経(L2-L4)の支配を受ける。大腿四頭筋の麻痺では歩行時に膝折れを生じやすく、体幹を前方に屈曲させて膝関節の伸展モーメントを補う代償歩行(大腿四頭筋歩行)を呈する。骨盤の安定性には関与しない。
ポイント
  • トレンデレンブルグ歩行は中殿筋・小殿筋の麻痺によって生じ、患側立脚時に健側骨盤が下降する異常歩行である
  • 大殿筋麻痺では体幹後方傾斜の大殿筋歩行、大腿四頭筋麻痺では膝折れ防止の代償歩行を呈し、それぞれ別の病態である
  • 先天性股関節脱臼や変形性股関節症でも中殿筋機能不全によりトレンデレンブルグ徴候が陽性となる
  • 重要用語: トレンデレンブルグ歩行, 中殿筋・小殿筋, 上殿神経, 骨盤側方安定化 を正確に理解しておくこと。
比較表
支配神経 主な作用 麻痺時の歩行異常
中殿筋・小殿筋 上殿神経(L4-S1) 股関節外転 トレンデレンブルグ歩行
大殿筋 下殿神経(L5-S2) 股関節伸展 大殿筋歩行
大腿四頭筋 大腿神経(L2-L4) 膝関節伸展 膝折れ・代償歩行
脊柱起立筋 脊髄神経後枝 体幹伸展 前屈姿勢
解説画像
あマ指 第1回(1993) 問題78|トレンデレンブルグ歩行はどの筋麻痺で起こるか。 解説図
あマ指 第1回(1993) 問題78|トレンデレンブルグ歩行はどの筋麻痺で起こるか。
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