学習トップ理由で解く 臨床医学各論第7章 ▸ E. その他の代謝異常症 / Q0597

理由で解く 臨床医学各論

Q0597 代謝・栄養疾患

出典:鍼灸 第15回(2007) 問題79
問題
「25歳の男性。1年前から飲酒量が増加し、食事回数は減少した。1か月前から下腿浮腫、息切れ、膝蓋腱反射の消失がみられ、今朝から意識消失もみられるようになった。」この意識障害について最も考えられるのはどれか。
選択肢
1 ゲルストマン症候群
2 ギランバレ-症候群
3 ウェルニッケ脳症
4 ペラグラ
解答
正解3(ウェルニッケ脳症)
解説
✗ 1. 誤り
ゲルストマン症候群
ゲルストマン症候群は優位半球(左半球)の頭頂葉角回の障害で生じる四徴(失書・失算・左右失認・手指失認)であり、脳血管障害や脳腫瘍が原因となる。本症例のようなアルコール多飲・栄養障害を背景とした末梢神経障害+心不全+意識障害という病態とは全く異なる。
✗ 2. 誤り
ギランバレ-症候群
ギランバレー症候群は感染後に発症する急性炎症性脱髄性多発根神経障害であり、上行性の運動麻痺が主体で、腱反射は消失するが意識障害は通常みられない。本症例の慢性的な飲酒・低栄養という経過とは合致しない。なお、ギランバレー症候群でも腱反射消失はみられるが、脚気との鑑別では経過と背景疾患が異なる。
✓ 3. 正しい
ウェルニッケ脳症
25歳男性で飲酒量増加・食事摂取減少の背景があり、下腿浮腫・息切れ(脚気心=ビタミンB1欠乏による高拍出性心不全)、膝蓋腱反射消失(脚気=ビタミンB1欠乏による末梢神経障害)が先行し、意識障害が出現している。これらはビタミンB1欠乏によるウェルニッケ脳症と脚気の合併を強く示唆する。ウェルニッケ脳症の三徴は意識障害、眼球運動障害(外転神経麻痺など)、運動失調(小脳性)であり、アルコール多飲と低栄養が代表的な原因である。
✗ 4. 誤り
ペラグラ
ペラグラはナイアシン(ニコチン酸)欠乏による疾患で、3D(dermatitis:皮膚炎、diarrhea:下痢、dementia:認知症)を三徴とする。本症例では皮膚炎や下痢の記載がなく、末梢神経障害+心不全という脚気の症状が前面に出ているためペラグラは考えにくい。
ポイント
  • 「アルコール多飲+低栄養+末梢神経障害+心不全+意識障害」のキーワードが揃えばビタミンB1欠乏(脚気+ウェルニッケ脳症)を想起する
  • ウェルニッケ脳症の三徴は「意識障害」「眼球運動障害」「運動失調」
  • ギランバレー症候群との鑑別:ギランバレーは感染後急性発症・上行性麻痺、脚気は慢性栄養障害が背景
  • 重要用語: ウェルニッケ脳症、ビタミンB1欠乏、脚気心、ゲルストマン症候群、ペラグラ を正確に理解しておくこと。
比較表
疾患 原因 三徴・主症状 特徴
ウェルニッケ脳症 ビタミンB1欠乏 意識障害、眼球運動障害、運動失調 アルコール多飲者に多い
脚気 ビタミンB1欠乏 末梢神経障害、心不全(脚気心) 膝蓋腱反射減弱・消失
ペラグラ ナイアシン欠乏 皮膚炎、下痢、認知症(3D) トウモロコシ主食地域に多い
ゲルストマン症候群 頭頂葉角回障害 失書、失算、左右失認、手指失認 脳血管障害が原因
解説画像
鍼灸 第15回(2007) 問題79|「25歳の男性。1年前から飲酒量が増加し、食事回数は減少した。1か月前から下腿浮腫、息切れ、膝蓋腱反射の消失がみられ、今朝から意識消失もみられるようになった。」この意識障害について最も考えられるのはどれか。 解説図
鍼灸 第15回(2007) 問題79|「25歳の男性。1年前から飲酒量が増加し、食事回数は減少した。1か月前から下腿浮腫、息切れ、膝蓋腱反射の消失がみられ、今朝から意識消失もみられるようになった。」この意識障害について最も考えられるのはどれか。
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