学習トップ理由で解く 臨床医学各論第7章 ▸ A. 糖代謝異常 / Q0536

理由で解く 臨床医学各論

Q0536 代謝・栄養疾患

出典:鍼灸 第7回(1999) 問題71
問題
糖尿病の合併症で誤っているのはどれか。
選択肢
1 網膜症
2 末梢動脈閉塞
3 末梢神経障害
4 急性糸球体腎炎
解答
正解4(急性糸球体腎炎)
解説
✗ 1.
網膜症
✗ 正しい。糖尿病性網膜症は糖尿病三大合併症の一つである。網膜の細小血管障害により、毛細血管瘤・点状出血・硬性白斑(単純網膜症)→軟性白斑・静脈数珠状拡張(増殖前網膜症)→新生血管・硝子体出血・牽引性網膜剥離(増殖網膜症)と進行し、成人の失明原因の上位を占める。定期的な眼底検査による早期発見が重要である。
✗ 2.
末梢動脈閉塞
✗ 正しい。末梢動脈閉塞(閉塞性動脈硬化症:ASO)は糖尿病の大血管障害の一つである。高血糖による動脈硬化の促進により、下肢動脈に粥状硬化性の狭窄・閉塞を来す。Fontaine分類に従い、無症状→間欠性跛行(歩行時の下肢痛、休息で軽快)→安静時疼痛→潰瘍・壊疽と進行する。糖尿病性神経障害と合併すると糖尿病性足病変のリスクがさらに高まる。
✗ 3.
末梢神経障害
✗ 正しい。末梢神経障害は糖尿病三大合併症の一つであり、最も早期に出現する。高血糖によるソルビトール蓄積と微小血管障害により末梢神経が障害される。左右対称性の手袋靴下型分布を示す感覚障害(しびれ・疼痛・感覚鈍麻)や、自律神経障害(起立性低血圧・便秘・排尿障害・勃起障害・発汗異常)を呈する。
✓ 4. 誤り
急性糸球体腎炎
急性糸球体腎炎は溶連菌感染後に発症する免疫複合体型(III型アレルギー)の腎疾患であり、糖尿病の合併症ではない。A群β溶血性連鎖球菌による咽頭炎や扁桃炎の1〜3週間後に、血尿・蛋白尿・浮腫・高血圧が急性に出現する。小児に多く、多くは自然治癒する。糖尿病の腎合併症は「糖尿病性腎症」であり、慢性高血糖による糸球体の細小血管障害が緩徐に進行して蛋白尿・腎不全を来す全く別の病態である。
ポイント
  • 糖尿病の血管合併症は2種類に大別される:細小血管障害(三大合併症:神経障害・網膜症・腎症)と大血管障害(動脈硬化症:冠動脈疾患・脳血管障害・末梢動脈閉塞)。
  • 急性糸球体腎炎と糖尿病性腎症は全く別の疾患:前者は溶連菌感染後の免疫性腎炎(急性発症、血尿主体、小児に多い、予後良好)、後者は慢性高血糖による細小血管障害(緩徐進行性、蛋白尿主体、透析導入原因第1位)。
  • 重要用語: 網膜症、末梢動脈閉塞、末梢神経障害、急性糸球体腎炎、糖尿病性腎症 を正確に理解しておくこと。
比較表
腎疾患 原因 発症様式 主な尿所見 好発 予後
急性糸球体腎炎 溶連菌感染後(免疫複合体) 急性 血尿主体 小児 良好(多くは自然治癒)
糖尿病性腎症 慢性高血糖(細小血管障害) 緩徐進行性 蛋白尿主体 中高年 不良(透析導入原因第1位)
解説画像
鍼灸 第7回(1999) 問題71|糖尿病の合併症で誤っているのはどれか。 解説図
鍼灸 第7回(1999) 問題71|糖尿病の合併症で誤っているのはどれか。
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