学習トップ理由で解く 臨床医学各論第7章 ▸ A. 糖代謝異常 / Q0531

理由で解く 臨床医学各論

Q0531 代謝・栄養疾患

出典:あマ指 第3回(1995) 問題81
問題
糖尿病について誤っている記述はどれか。
選択肢
1 インスリンが過剰に分泌されている。
2 食事療法は重要である。
3 薬物療法では低血糖に注意する。
4 網膜症の合併がある。
解答
正解1(インスリンが過剰に分泌されている)
解説
✓ 1. 誤り
インスリンが過剰に分泌されている。
糖尿病はインスリンの分泌不足またはインスリン抵抗性の増大により発症する疾患であり、インスリンが「過剰に分泌」されているわけではない。1型糖尿病では膵β細胞の自己免疫的破壊によりインスリン分泌が絶対的に不足し、2型糖尿病でもインスリン抵抗性の増大に加え相対的なインスリン分泌低下がみられる。インスリン過剰分泌は低血糖を引き起こすインスリノーマ(膵島腫瘍)の病態であり、糖尿病とは根本的に異なる。
✗ 2.
食事療法は重要である。
✗ 正しい。食事療法は糖尿病治療の基本中の基本であり、1型・2型を問わず全ての糖尿病患者に必須である。適正なエネルギー摂取量(標準体重×25〜30kcal/日)と栄養バランス(炭水化物50〜60%、たんぱく質15〜20%、脂質20〜25%)の管理が血糖コントロールの土台となる。治療のステップは食事療法→運動療法→薬物療法の順に導入される。
✗ 3.
薬物療法では低血糖に注意する。
✗ 正しい。薬物療法(SU薬、インスリン製剤など)では低血糖が最も注意すべき副作用である。低血糖症状には交感神経症状(冷汗・動悸・手指振戦・空腹感)と中枢神経症状(眠気・集中力低下・痙攣・意識障害)がある。特に高齢者では無自覚性低血糖が多く、突然の意識障害に至る危険がある。ブドウ糖の常時携帯と規則正しい食事・服薬が重要である。
✗ 4.
網膜症の合併がある。
✗ 正しい。糖尿病性網膜症は糖尿病三大合併症の一つである。網膜の細小血管障害により、単純網膜症(毛細血管瘤・点状出血・硬性白斑)→増殖前網膜症(軟性白斑・静脈数珠状拡張)→増殖網膜症(新生血管・硝子体出血・牽引性網膜剥離)と進行し、失明の主要原因となる。定期的な眼底検査による早期発見と血糖コントロールが重要である。
ポイント
  • 糖尿病の本態はインスリン「不足」であり、「過剰分泌」ではない。インスリン過剰分泌はインスリノーマの病態であり、低血糖を引き起こす点で全く逆の病態。
  • 糖尿病治療の3本柱と導入順序:食事療法(基本)→運動療法→薬物療法(経口血糖降下薬:SU薬・BG薬・αGI→インスリン注射)。
  • 重要用語: インスリン不足、インスリン抵抗性、食事療法、低血糖、糖尿病性網膜症 を正確に理解しておくこと。
比較表
治療段階 内容 適応
食事療法 エネルギー制限、栄養バランス管理 全ての糖尿病患者(基本)
運動療法 有酸素運動(歩行等)、食後に実施 食事療法で不十分な場合
経口血糖降下薬 SU薬、BG薬、αGI、DPP-4阻害薬など 生活改善で血糖管理不十分な2型
インスリン療法 インスリン皮下注射 1型(必須)、2型(経口薬無効時)
解説画像
あマ指 第3回(1995) 問題81|糖尿病について誤っている記述はどれか。 解説図
あマ指 第3回(1995) 問題81|糖尿病について誤っている記述はどれか。
この問題の解説の修正を依頼する

解説に誤り・改善点があればお知らせください。件名と本文は自動入力済みです(編集できます)。お名前・メールアドレスは任意です。送信内容は玄康株式会社(黒澤一弘)に届きます。

この問題をアプリで理由で解く 臨床医学各論
App Store入手