学習トップ理由で解く 理学療法士第4章 ▸ 一般 / QP58A096

理由で解く 理学療法士

QP58A096 臨床医学大要

出典:第58回理学療法士国家試験(2023)午前 問96
問題
アルコール依存症で誤っているのはどれか。
選択肢
1 依存性パーソナリティ障害は発症リスクを高める。
2 発症時はアルコール耐性が増大している。
3 断酒後、依存症状態に戻ることが多い。
4 アルコール幻覚症は幻視を主とする。
5 発症には遺伝的影響がある。
解答
正解4(アルコール幻覚症は幻視を主とする。)
解説

アルコール幻覚症は意識清明のまま幻聴を主体とする病態であり、「幻視を主とする」が誤り。幻視を主とするのは離脱期の振戦せん妄である。

アルコール依存症は、反復飲酒による耐性の増大(同じ効果に多量を要する)と離脱症状を特徴とし、遺伝的素因(家族集積性)が関与する。断酒に成功しても少量の再飲酒で急速に依存状態へ戻りやすく(コントロール障害)、再発が多い。依存性パーソナリティ障害をはじめとするパーソナリティ障害も発症リスクを高める要因とされる。合併する精神病像のうちアルコール幻覚症は意識清明下で幻聴を主体とする点が特徴的であり、幻視を主とするのは離脱期の振戦せん妄である。したがって「幻視を主とする」とした選択肢4が誤り。

✗ 1. 正しい
依存性パーソナリティ障害は発症リスクを高める。
依存性パーソナリティ障害などのパーソナリティ障害は飲酒への依存を形成しやすく発症リスクを高めるとされる(正しい)
✗ 2. 正しい
発症時はアルコール耐性が増大している。
反復飲酒で耐性が増大し多飲に至るのは依存形成の特徴(正しい)
✗ 3. 正しい
断酒後、依存症状態に戻ることが多い。
コントロール障害があり再飲酒で急速に依存へ戻りやすい(正しい)
✓ 4. 誤り
アルコール幻覚症は幻視を主とする。
アルコール幻覚症は意識清明下の幻聴が主体で、幻視を主とするのは振戦せん妄のため本肢は誤り
✗ 5. 正しい
発症には遺伝的影響がある。
家族集積・双生児研究から遺伝的素因の関与が示されている(正しい)
本問は、厚生労働省が「選択肢に正解がないため」として採点対象から除外した問題です。出題者は選択肢1(依存性パーソナリティ障害)を誤り肢として作成したと推測されますが、厚生労働省は5つの選択肢すべてを正しい記述と判断したため、「誤っているのはどれか」に対する正答が存在しませんでした。そこで演習として成立させるため、当方で選択肢4を「アルコール幻覚症は幻聴を主とする。」→「アルコール幻覚症は幻視を主とする。」と1語だけ改変しました(設問文と他の4つの選択肢は原問のままです)。アルコール幻覚症は意識清明下の幻聴が主体で、幻視を主とするのは振戦せん妄ですので、改変後の正答は選択肢4に定まります。選択肢1は公式には「正しい」とされた記述である点に注意してください。
ポイント
  • 耐性増大・離脱・コントロール障害が依存の核
  • 依存性パーソナリティ障害などパーソナリティ障害は発症リスクを高める
  • アルコール幻覚症=清明意識下の幻聴、振戦せん妄=幻視・意識障害
比較表
アルコール関連の精神症状
病態意識主な幻覚
アルコール幻覚症清明幻聴
振戦せん妄(離脱)混濁幻視・小動物幻視
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