
この図の解説
図の上段(成人)と下段(乳児)を見比べてほしい。乳児では胸腺が心臓の前方を大きくおおうように広がっているのに対し、成人では心臓の上方に位置する小さな器官へと縮んでいる。これが胸腺最大の特徴である「思春期を過ぎると次第に退縮する」という加齢変化を、そのまま可視化したものだ。右上の縦隔の模式図では、胸腺が縦隔の前部から上部(胸骨のすぐ後ろ、心臓の前面から上部)に位置する左右1対の器官であることが示されている。胸腺はリンパ系の器官でありながら内部にリンパ小節を持たず、T細胞の分化・成熟の場となる第一次リンパ性器官である点を、図の右下の解説とあわせて押さえたい。
学習の要点
- 胸腺は胸骨のすぐ後ろ、縦隔の前部から上部に位置する左右1対の器官。乳幼児で発達し、思春期以降に退縮、老人では大部分が脂肪組織に置き換わる。
- 覚え方のコツ:Tリンパ球のTは胸腺の学名Thymus(サイムス)のT。「胸腺で成熟=T細胞」と結びつける。
- 関連知識:骨髄で生まれたTリンパ球前駆細胞が胸腺に入って成熟しTリンパ球となる。一方Bリンパ球は骨髄からリンパ節・扁桃・脾臓などのリンパ小節へ直接送られて成熟する。
- よくある間違い:リンパ系器官なのに「内部にリンパ小節を認めず、リンパ管が直接出入りしない」。皮質(リンパ球密集)と髄質は区別されるが、リンパ小節はない。
- 臨床応用:新生児期に胸腺を切除すると全身のリンパ系器官が発達せず抗体産生能も発現しない。胸腺は全身のリンパ性器官の中枢的臓器といえる。
比較表
確認問題(その場で確認・記録には残りません)
胸腺は骨髄由来の前駆細胞が成熟して( )リンパ球となる場であり、全身のリンパ系組織に先がけて発生する( )リンパ性器官である。空欄に入る語を答えよ。
答えを見る
答え: T(Tリンパ球)/第一次
※ 確認問題はその場の理解確認用で、復習スケジュール(FSRS)には記録されません。