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理由で解く 解剖学

Q1065 運動器系

出典:鍼灸 第33回(2025) 問題19
問題
頸部の筋について正しいのはどれか。
選択肢
1 前斜角筋は鎖骨に停止する。
2 広頸筋は頸神経で支配される。
3 前斜角筋と中斜角筋の間を腕神経叢が通る。
4 後頭下筋群は第1頸神経の前枝で支配される。
解答
正解3(前斜角筋と中斜角筋の間を腕神経叢が通る。)
解説
✗ 1. 誤り
前斜角筋は鎖骨に停止する。
前斜角筋の停止は「第1肋骨の斜角筋結節」であり、鎖骨ではない。中斜角筋も同様に第1肋骨に停止、後斜角筋は第2肋骨に停止する。鎖骨には胸鎖乳突筋(鎖骨頭)や僧帽筋・大胸筋などが付着するが、斜角筋群は肋骨に停止する。
✗ 2. 誤り
広頸筋は頸神経で支配される。
広頸筋は表情筋が頸部に広がった皮筋で、「顔面神経(第VII脳神経)の頸枝」に支配される。頸神経(C1〜C4由来の脊髄神経)支配ではない点を明確に区別する。
✓ 3. 正しい
前斜角筋と中斜角筋の間を腕神経叢が通る。
前斜角筋と中斜角筋の間には「斜角筋隙」と呼ばれる隙間があり、下面は第1肋骨が床となる。ここを腕神経叢(C5〜T1の前枝)の神経根と鎖骨下動脈が通過して胸郭上口から腋窩へ向かう。下位の頸神経前枝と第1胸神経前枝がこの隙間で合流して3つの神経幹(上・中・下神経幹)を形成する。一方、鎖骨下静脈は前斜角筋の「前面」を通るため斜角筋隙は通らず、動脈と静脈で経路が分かれる点が重要(前斜角筋を挟んで動静脈が分離される)。斜角筋症候群ではこの隙間で腕神経叢・鎖骨下動脈が圧迫され、上肢のしびれや血流障害が生じる。
✗ 4. 誤り
後頭下筋群は第1頸神経の前枝で支配される。
後頭下筋群(大・小後頭直筋、上・下頭斜筋)は第1頸神経の「後枝」(後頭下神経)に支配される。第1頸神経は前枝が頸神経叢の一部となり舌骨下筋群・横隔神経などを形成し、後枝が後頭下筋群を支配するため、後枝と前枝を取り違えないように注意。
ポイント
  • 斜角筋隙(前・中斜角筋+第1肋骨)を腕神経叢と鎖骨下動脈が通過。前斜角筋は第1肋骨に停止、広頸筋は顔面神経、後頭下筋群は頸神経後枝支配。
  • 覚え方のコツ: 「斜角筋隙=叢+動」「鎖骨下静脈は前斜角筋の前」。広頸筋は「表情筋が頸まで広がった」皮筋=顔面神経。
  • 関連知識: 前斜角筋の前面を横隔神経が下行し、胸郭上口から胸腔に入り横隔膜を支配。後頭下筋群は頭部の微細な運動・固有感覚に重要。
  • よくある間違い: 前斜角筋を鎖骨停止と誤認/広頸筋を頸神経支配と思い込む/後頭下筋群を前枝支配と取り違え。
  • 臨床応用: 斜角筋症候群・肋鎖症候群・小胸筋症候群は胸郭出口症候群の3病型。むち打ち損傷で斜角筋・胸鎖乳突筋・後頭下筋群が障害されることが多い。
比較表
停止/支配 補足
前斜角筋 第1肋骨斜角筋結節/頸神経前枝 斜角筋隙前壁
中斜角筋 第1肋骨(結節後方)/頸神経前枝 斜角筋隙後壁
後斜角筋 第2肋骨/頸神経前枝 斜角筋隙外
胸鎖乳突筋 側頭骨乳様突起/副神経 頸部最大の表筋
広頸筋 皮膚/顔面神経頸枝 皮筋=表情筋の延長
後頭下筋群 後頭骨・頸椎/C1後枝(後頭下神経) 微細運動制御
舌骨下筋群 舌骨・甲状軟骨・胸骨/頸神経ワナ(C1-3) 嚥下・発声
解説画像
鍼灸 第33回(2025) 問題19|頸部の筋について正しいのはどれか。 解説図
鍼灸 第33回(2025) 問題19|頸部の筋について正しいのはどれか。
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