学習トップ理由で解く 解剖学第10章 ▸ N. 下肢の運動 / Q1026

理由で解く 解剖学

Q1026 運動器系

出典:鍼灸 第8回(2000) 問題20
問題
股関節の運動で腸腰筋の拮抗筋はどれか。
選択肢
1 半膜様筋
2 大腿筋膜張筋
3 大腿直筋
4 縫工筋
解答
正解1(半膜様筋)
解説
✓ 1. 正しい
半膜様筋
半膜様筋はハムストリングスの1つで、坐骨結節から起こり脛骨内側顆後部に停止する。主な作用は膝関節の屈曲と股関節の伸展である。腸腰筋は股関節最強の屈筋であり、股関節伸展作用を持つ半膜様筋はその拮抗筋にあたる。ハムストリングスのうち膝関節屈曲のみを行う大腿二頭筋短頭を除いて、いずれも股関節伸展に働く点が重要である。
✗ 2. 誤り
大腿筋膜張筋
大腿筋膜張筋は上前腸骨棘から起こり腸脛靭帯に停止する。その作用は股関節の屈曲・外転・内旋であり、腸腰筋と同じく屈曲側に働くため拮抗筋ではなく協力筋である。
✗ 3. 誤り
大腿直筋
大腿直筋は大腿四頭筋の中で唯一寛骨(下前腸骨棘)から起こる2関節筋で、膝関節伸展のほか股関節屈曲にも働く。腸腰筋と同じ屈曲方向の作用のため拮抗筋にはならない。
✗ 4. 誤り
縫工筋
縫工筋は上前腸骨棘から起こり鵞足を形成して脛骨粗面内側に停止し、股関節の屈曲・外転・外旋と膝関節の屈曲・内旋を行う。股関節屈曲作用を持つため腸腰筋の拮抗筋ではない。
ポイント
  • 股関節の屈曲に働く腸腰筋の拮抗筋は、股関節の伸展に働く筋(大殿筋・ハムストリングス)である。半膜様筋はハムストリングスの1つ。
  • 覚え方のコツ: 「屈曲=腸腰筋・大腿直筋・縫工筋・大腿筋膜張筋」「伸展=大殿筋・ハム(半腱様筋・半膜様筋・大腿二頭筋長頭)」とペアで暗記する。
  • 関連知識: 腸腰筋は腸骨筋+大腰筋からなり、歩行時の大腿挙上を担う。大殿筋はヒトで著しく発達し、直立歩行時の主伸展筋として腸腰筋と対になる。
  • よくある間違い: 大腿直筋・縫工筋・大腿筋膜張筋も股関節に関わるが、いずれも屈曲側の筋であり拮抗筋ではない点を混同しないこと。
  • 臨床応用: 腸腰筋は腰椎前弯の維持にも関わり、短縮すると反り腰や腰痛を招く。ハムストリングス短縮は腰椎後弯を増強し、前屈制限や坐骨神経痛様症状の一因となる。
比較表
股関節の運動 主動筋 補助筋
屈曲 腸腰筋 大腿直筋、縫工筋、大腿筋膜張筋
伸展 大殿筋 ハムストリングス(半腱様筋・半膜様筋・大腿二頭筋長頭)
内転 内転筋群(長・短・大内転筋など) 薄筋、恥骨筋
外転 中殿筋、小殿筋 大腿筋膜張筋
内旋 中殿筋・小殿筋の前部 大腿筋膜張筋
外旋 深層外旋6筋(梨状筋・内閉鎖筋など) 外閉鎖筋、大殿筋
解説画像
鍼灸 第8回(2000) 問題20|股関節の運動で腸腰筋の拮抗筋はどれか。 解説図
鍼灸 第8回(2000) 問題20|股関節の運動で腸腰筋の拮抗筋はどれか。
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