学習トップ理由で解く 解剖学第10章 ▸ J. 上肢の筋 / Q0918

理由で解く 解剖学

Q0918 運動器系

出典:鍼灸 第4回(1996) 問題19
問題
筋と上肢の運動との組合せで誤っているのはどれか。
選択肢
1 僧帽筋 ― 肩甲骨の挙上
2 前鋸筋 ― 肩甲骨を前方へ引く
3 肩甲下筋 ― 上腕の外旋
4 三角筋 ― 上腕の外転
解答
正解3(肩甲下筋 ― 上腕の外旋)
解説
✗ 1.
僧帽筋 ― 肩甲骨の挙上
✗ 正しい。 僧帽筋は上部・中部・下部で作用が異なり、上部線維は鎖骨外側端と肩甲骨を挙上する(肩をすくめる動作)。中部は肩甲骨を内方へ引き、下部は肩甲棘を下方に引いて肩甲骨を回転させ上腕挙上を助ける。組合せは正しい。
✗ 2.
前鋸筋 ― 肩甲骨を前方へ引く
✗ 正しい。 前鋸筋は第1〜8肋骨外面から起こり肩甲骨内側縁に停止する。肩甲骨を前方(外側)へ引き、さらに下角を前方へ引いて肩甲骨を回旋させる。長胸神経麻痺で翼状肩甲(winging scapula)を呈する。
✓ 3. 誤り
肩甲下筋 ― 上腕の外旋
肩甲下筋は肩甲下窩から起こり上腕骨「小結節」に停止し、肩関節の前面を通るため上腕の「内旋」に働く(外旋ではない)。したがって本組合せは誤りである。回旋筋腱板の前面を構成し、肩甲下神経に支配される。上腕の外旋に働くのは棘下筋・小円筋で、大結節に停止する。
✗ 4.
三角筋 ― 上腕の外転
✗ 正しい。 三角筋は鎖骨外側1/3・肩峰・肩甲棘から起こり上腕骨三角筋粗面に停止する。中部線維(肩峰部)が上腕の外転の主動筋として働き、棘上筋が始動した後15°以上の外転を担う。組合せは正しい。
ポイント
  • 肩甲下筋は小結節に停止する唯一の回旋筋腱板筋で、肩関節の「内旋」に働く。外旋は棘下筋・小円筋(大結節停止)の作用。
  • 覚え方のコツ: 「小結節=内旋(肩甲下筋、大結節稜=大胸筋・広背筋・大円筋)」「大結節=外転・外旋(棘上・棘下・小円)」と停止部位と作用を連結。
  • 関連知識: 肩甲骨の運動:挙上=僧帽筋上部+肩甲挙筋、下制=僧帽筋下部、内転=僧帽筋中部+菱形筋、外転(前方へ引く)=前鋸筋、上方回旋=僧帽筋上下部+前鋸筋。
  • よくある間違い: 肩甲下筋を外旋筋と取り違える/三角筋の後部を屈曲筋と誤る(後部は伸展)/僧帽筋全体が挙上と誤認する(中部は内転、下部は下制)。
  • 臨床応用: 長胸神経麻痺(前鋸筋麻痺)で翼状肩甲を生じ、上肢前方挙上時に肩甲骨内側縁が浮き上がる。僧帽筋麻痺(副神経損傷)でも肩甲骨の下方回旋・外側偏位がみられる。
比較表
作用 支配神経
僧帽筋上部 肩甲骨挙上 副神経
前鋸筋 肩甲骨を前方へ引く(外転)・上方回旋 長胸神経
肩甲下筋 上腕の内旋 肩甲下神経
三角筋(中部) 上腕の外転 腋窩神経
解説画像
鍼灸 第4回(1996) 問題19|筋と上肢の運動との組合せで誤っているのはどれか。 解説図
鍼灸 第4回(1996) 問題19|筋と上肢の運動との組合せで誤っているのはどれか。
この問題の解説の修正を依頼する

解説に誤り・改善点があればお知らせください。件名と本文は自動入力済みです(編集できます)。お名前・メールアドレスは任意です。送信内容は玄康株式会社(黒澤一弘)に届きます。

この問題をアプリで理由で解く 解剖学
App Store入手