学習トップ理由で解く 解剖学第10章 ▸ E. 上肢の骨格 / Q0807

理由で解く 解剖学

Q0807 運動器系

出典:あマ指 第11回(2003) 問題17
問題
橈骨と尺骨の両方に存在するのはどれか。
選択肢
1 頸切痕
2 滑車切痕
3 鈎状突起
4 茎状突起
解答
正解4(茎状突起)
解説
✗ 1. 誤り
頸切痕
「頸切痕」という部位は橈骨・尺骨のいずれにも解剖学用語として存在しない。橈骨頭直下には「橈骨頸」というくびれはあるが切痕ではない。紛らわしい名称に注意する必要がある。
✗ 2. 誤り
滑車切痕
滑車切痕は尺骨上端の前面にある半月状のくぼみで、上腕骨滑車と腕尺関節をなす。橈骨には存在しない尺骨特有の構造である。
✗ 3. 誤り
鈎状突起
鉤状突起は尺骨の滑車切痕下縁前方に釣り針状に突出する突起で、肘関節屈曲時に上腕骨の鉤突窩に入り込む。尺骨のみの構造で橈骨にはない。
✓ 4. 正しい
茎状突起
茎状突起は橈骨下端外側と尺骨下端内側の両方に認められる下向きの突出で、前腕骨遠位端の特徴的ランドマークである。橈骨茎状突起は尺骨茎状突起より約1cm遠位にあり、この高低差により手関節は橈屈より尺屈の可動域が大きくなる。体表から橈骨茎状突起は手関節橈側で、尺骨茎状突起は手関節尺側背面で容易に触知でき、経穴取穴や整形外科的診察における重要な基準点となる。
ポイント
  • 茎状突起は橈骨・尺骨の両方に存在する下端の突起。橈骨茎状突起のほうが尺骨茎状突起より遠位(約1cm低い位置)が正常な位置関係。
  • 覚え方のコツ: 「茎状突起は両方、滑車・鉤状は尺骨」。滑車切痕は尺骨上端で上腕骨滑車を受け入れるから「滑車を受ける骨=尺骨」と連想。
  • 関連知識: 茎状突起は側頭骨・橈骨・尺骨・第3中手骨・第5中手骨などに存在する。前腕骨では両方に見られる。橈骨切痕は尺骨、尺骨切痕は橈骨にある(互いの相手を受け入れる切痕)。
  • よくある間違い: 「橈骨頸」と「頸切痕」の混同/滑車切痕を橈骨にあると誤認/橈骨頭(近位)と尺骨頭(遠位)の位置関係を逆に覚える。
  • 臨床応用: コレス骨折(橈骨遠位端骨折)では橈骨茎状突起が近位へ引き上げられ、尺骨茎状突起との高低差が消失しフォーク状変形を呈する。尺骨茎状突起の合併骨折も高頻度である。
比較表
部位 橈骨 尺骨
茎状突起 ○(下端外側、遠位) ○(下端内側、やや近位)
滑車切痕 × ○(上端)
鉤状突起 × ○(滑車切痕前下方)
肘頭 × ○(上端後方)
橈骨切痕 × ○(上端外側)
尺骨切痕 ○(下端内側) ×
解説画像
あマ指 第11回(2003) 問題17|橈骨と尺骨の両方に存在するのはどれか。 解説図
あマ指 第11回(2003) 問題17|橈骨と尺骨の両方に存在するのはどれか。
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