学習トップ理由で解く 解剖学第10章 ▸ D. 胸郭 / Q0796

理由で解く 解剖学

Q0796 運動器系

出典:鍼灸 第20回(2012) 問題15
問題
胸郭上口を通るのはどれか。
選択肢
1 前斜角筋
2 上大静脈
3 交感神経幹
4 副神経
解答
正解3(交感神経幹)
解説
✗ 1. 誤り
前斜角筋
前斜角筋はC3〜C6の横突起から起こり第1肋骨の斜角筋結節に停止する頸部の筋である。斜角筋隙の内側境界を形成するが、筋自体は胸郭上口より上位の頸部にあり胸腔内には入らないため、胸郭上口を「通る」とは言えない。
✗ 2. 誤り
上大静脈
上大静脈は右腕頭静脈と左腕頭静脈の合流により右第1肋軟骨後方で形成され、縦隔内を下行して右心房に注ぐ胸腔内の血管である。頸部から胸腔へ下りてくるのではなく、胸腔内で形成されるため胸郭上口を通過しない。胸郭上口を通る血管は腕頭動脈・総頸動脈・鎖骨下動静脈・内胸動静脈などで、上大静脈はそれらの合流後の産物である。
✓ 3. 正しい
交感神経幹
交感神経幹は椎体の前外側面に沿って頸部から骨盤部まで連続して縦走しており、胸郭上口(胸骨柄上縁・第1胸椎・第1肋骨で囲まれた入口)を通過して頸部交感神経幹から胸部交感神経幹へ連続する。特に第1胸神経節と下頸神経節が癒合してできる「星状神経節(頸胸神経節)」は胸郭上口付近、第1肋骨頭の前に位置し、ホルネル症候群やPancoast腫瘍の原因部位として臨床的に重要。左右一対で胸郭上口を縦走しているため、本問の正解となる。迷走神経・横隔神経も胸郭上口を通るが、選択肢にはないため交感神経幹が唯一の正解。
✗ 4. 誤り
副神経
副神経(第XI脳神経)は頸静脈孔から頭蓋を出て頸部の胸鎖乳突筋・僧帽筋を運動支配する脳神経で、頸部に限局し胸腔内に下行しない。したがって胸郭上口を通過しない。
ポイント
  • 交感神経幹は椎体前外側面を頸部から骨盤部まで連続しており、胸郭上口を通過する。頸部と胸部の連絡部に星状神経節(頸胸神経節)がある。
  • 覚え方のコツ: 胸郭上口を通る神経は「迷・交感幹・横隔」の3本で「めい・こうかん・おうかく」とリズムで記憶。副神経・前斜角筋・上大静脈は通らない。
  • 関連知識: 胸郭上口の境界は前=胸骨柄上縁、後=第1胸椎、外側=第1肋骨。通過するのは気管・食道・血管(鎖骨下動静脈・総頸動脈・腕頭動脈・内胸動脈)・神経(迷走・横隔・交感神経幹・反回神経)・胸管。
  • よくある間違い: 前斜角筋が胸腔内に入ると誤解/上大静脈を頸部から下る血管と誤解/副神経が胸腔内まで下行すると勘違い。
  • 臨床応用: Pancoast腫瘍(肺尖部癌)は胸郭上口付近の腕神経叢下神経幹・交感神経幹・星状神経節を圧迫浸潤し、同側上肢痛+ホルネル症候群(縮瞳・眼瞼下垂・無汗)を呈する。
解説画像
鍼灸 第20回(2012) 問題15|胸郭上口を通るのはどれか。 解説図
鍼灸 第20回(2012) 問題15|胸郭上口を通るのはどれか。
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