学習トップ理由で解く 解剖学第9章 ▸ D. 嗅覚器 / Q0741

理由で解く 解剖学

Q0741 感覚器系

出典:あマ指 第33回(2025) 問題22
問題
嗅覚を伝える経路について正しいのはどれか。
選択肢
1 嗅上皮は上鼻道にある。
2 嗅神経は篩骨篩板を通る。
3 嗅神経が集まって嗅索になる。
4 嗅球は視床下部下面に位置する。
解答
正解2(嗅神経は篩骨篩板を通る。)
解説
✗ 1. 誤り
嗅上皮は上鼻道にある。
嗅上皮は鼻腔の「天井」(鼻腔上部、上鼻甲介内側面・鼻中隔上部・篩骨篩板の下面)にあるのであって、上鼻道(上鼻甲介と中鼻甲介の間の通路)にあるわけではない。「鼻腔の天井」と「上鼻道」は別の解剖学的場所。
✓ 2. 正しい
嗅神経は篩骨篩板を通る。
嗅上皮の嗅細胞(双極神経細胞)から出た軸索は集まって束となり「嗅神経」(第I脳神経)を形成する。嗅神経は篩骨篩板の多数の小孔を貫通して頭蓋内に入り、前頭蓋窩の底に位置する嗅球(前頭葉下面)に達してシナプスを形成する。嗅神経は無髄の細い線維束で、無被膜の状態で頭蓋骨を貫くため、頭部外傷(特に前頭蓋底骨折)で容易に断裂し外傷性嗅覚障害をきたす。「嗅神経→篩骨篩板→嗅球→嗅索→大脳辺縁系(梨状葉・扁桃体・海馬傍回など)」という経路は嗅覚伝導路の基本中の基本であり、本選択肢が正解。
✗ 3. 誤り
嗅神経が集まって嗅索になる。
嗅神経(一次ニューロン)が嗅球に入りシナプスを形成した後、嗅球の僧帽細胞・房飾細胞(二次ニューロン)の軸索が集まって「嗅索」となる。すなわち「嗅神経→嗅球→嗅索」であって、嗅神経が直接集まって嗅索になるのではない。
✗ 4. 誤り
嗅球は視床下部下面に位置する。
嗅球は前頭葉下面(眼窩面)の嗅溝にあり、篩骨篩板の上に乗っている前頭蓋窩内の構造である。視床下部下面ではない。視床下部下面には乳頭体・正中隆起・漏斗(下垂体茎)が位置する。
ポイント
  • 嗅覚伝導路:嗅上皮の嗅細胞→嗅神経(I)→篩骨篩板を貫通→嗅球(前頭葉下面)→嗅索→大脳辺縁系(梨状葉・扁桃体・海馬傍回など)。視床を介さない唯一の特殊感覚。
  • 覚え方のコツ: 「鼻の天井→篩板→球→索→大脳辺縁系」と上から順に流れで覚える。「視床を介さない=直接情動・記憶を呼び起こす(プルースト効果)」がポイント。
  • 関連知識: 嗅細胞は双極神経細胞という珍しい一次感覚ニューロンで、樹状突起の先端に嗅毛をもつ。嗅毛が粘液層中ににおい分子を捕捉し、嗅覚受容体(GPCR)→cAMP系で脱分極する。
  • よくある間違い: 「嗅上皮=上鼻道」「嗅球=視床下部」と部位を取り違えるミスが頻発。嗅上皮は「鼻腔の天井(屋根)」、嗅球は「前頭葉下面」が正解。
  • 臨床応用: 前頭蓋底骨折で篩骨篩板を貫く嗅神経が断裂し外傷性嗅覚障害を生じる。COVID-19・パーキンソン病・アルツハイマー病でも嗅覚障害が早期症状として出現することが知られる。
比較表
段階 構造 部位
受容 嗅細胞(双極神経細胞)の嗅毛 鼻腔天井の嗅上皮
一次線維 嗅神経(I)無髄軸索束 篩骨篩板を貫通
一次中枢 嗅球の僧帽細胞・房飾細胞 前頭葉下面(嗅溝)
投射路 嗅索 大脳辺縁系へ
終着 梨状葉・扁桃体・海馬傍回 大脳辺縁系
解説画像
あマ指 第33回(2025) 問題22|嗅覚を伝える経路について正しいのはどれか。 解説図
あマ指 第33回(2025) 問題22|嗅覚を伝える経路について正しいのはどれか。
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