学習トップ理由で解く 解剖学第8章 ▸ J. 脊髄神経 / Q0623

理由で解く 解剖学

Q0623 神経系

出典:あマ指 第3回(1995) 問題37
問題
内側上腕二頭筋溝の深部を通るのはどれか。
選択肢
1 上腕動脈
2 橈骨神経
3 腋窩静脈
4 筋皮神経
解答
正解1(上腕動脈)
解説
✓ 1. 正しい
上腕動脈
上腕動脈は腋窩動脈が大円筋下縁を越えてから肘窩までの呼称で、内側上腕二頭筋溝(上腕二頭筋と内側にある三角筋・上腕筋との境界をなす溝)の深部を正中神経・上腕静脈とともに下行する。脈拍触知部位(血圧測定での聴診部位は肘窩内側)として臨床的にも重要。深部とは上腕筋膜より深い、上腕骨に近い面のこと。
✗ 2. 誤り
橈骨神経
橈骨神経は腋窩を出ると上腕骨の後面に回り、橈骨神経溝を外側下方へ斜めに走行する。上腕の前内側にある内側上腕二頭筋溝とは正反対の位置を取り、上腕中央部では上腕骨後面を走るため、この溝を通ることはない。
✗ 3. 誤り
腋窩静脈
腋窩静脈は上腕静脈が大円筋下縁を越えてから鎖骨下静脈に移行するまでの呼称で、腋窩内に存在する静脈である。上腕レベルでは「上腕静脈」となり上腕動脈と伴走するが、設問は「内側上腕二頭筋溝の深部」を問うており、ここに位置するのは腋窩静脈ではない。
✗ 4. 誤り
筋皮神経
筋皮神経は腕神経叢外側束から起こり、烏口腕筋を貫いて上腕屈筋群の筋肉間を下行する。上腕二頭筋と上腕筋の間(筋肉実質内)を通るため、内側上腕二頭筋溝(筋肉と内側構造の境界部)の深部とは経路が異なる。前腕で皮下に出て外側前腕皮神経となる。
ポイント
  • 内側上腕二頭筋溝の深部には上腕動脈・上腕静脈・正中神経の3者が並走する(脈管神経束)。脈拍触知や血圧測定の解剖学的根拠となる部位。
  • 覚え方のコツ: 「内側溝=動脈・静脈・正中の三人組」と3点セットで記憶。橈骨は後ろ、筋皮は筋肉の中、尺骨は内側上顆の後ろと、別ルートを対比する。
  • 関連知識: 上腕動脈は肘窩で橈骨動脈と尺骨動脈に分岐する。血圧測定(聴診器)は肘窩内側でこの上腕動脈を聴く。正中神経は肘窩で円回内筋を貫いて前腕に入る。
  • よくある間違い: 「内側上腕二頭筋溝=尺骨神経」と早合点しやすいが、尺骨神経は上腕中央付近で内側上腕二頭筋溝から離れて内側筋間中隔を越え、内側上顆後方の尺骨神経溝に向かう。
  • 臨床応用: 上腕動脈のこの部位は採血・動脈穿刺の標的となり、誤穿刺で正中神経損傷・上腕静脈損傷を生じうる。また、内側上腕二頭筋溝の圧迫(松葉杖の不適切使用)でも正中神経麻痺が起こる。
比較表
構造 上腕中央での走行位置
上腕動脈 内側上腕二頭筋溝の深部
上腕静脈 上腕動脈に伴走
正中神経 上腕動脈に伴走(内側上腕二頭筋溝)
尺骨神経 内側筋間中隔→内側上顆後方
橈骨神経 上腕骨後面の橈骨神経溝
筋皮神経 上腕二頭筋と上腕筋の間
解説画像
あマ指 第3回(1995) 問題37|内側上腕二頭筋溝の深部を通るのはどれか。 解説図
あマ指 第3回(1995) 問題37|内側上腕二頭筋溝の深部を通るのはどれか。
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