
この図の解説
この図は、腋窩から上腕にかけて皮膚と筋膜を切り開き、深部を走る血管と神経の束を露出させた外科解剖図である。まず注目したいのは、上腕二頭筋の内側縁(内側二頭筋溝)に沿って、動脈・静脈・神経がひとまとまりの束となって縦走している点である。太い赤色の管が上腕動脈で、腋窩の下縁(大円筋の下縁)で腋窩動脈から名を変えて肘窩へ向かう。その拍動は内側二頭筋溝の全域で触れ、血圧測定に用いられる。動脈のすぐそばを白い索状の正中神経が伴走し、両者は上腕二頭筋の停止腱膜の下をくぐって肘窩に入る。青色の管は尺側皮静脈や上腕静脈で、上腕の内側を上行する。図の右側では胸壁を大きく開き、腋窩の内部で腕神経叢が枝分かれして上肢へ広がる様子が描かれている。動脈・神経が体表近くの浅い層をまとまって走るため、外傷や手術で同時に損傷しやすく、この配置を知ることが外科的処置の基礎となる。
学習の要点
- 腋窩動脈は第1肋骨外側縁から大円筋(または大胸筋)の下縁までの区間を指し、そこから先は上腕動脈と名を変えて上腕二頭筋内側縁を肘窩へ下行する。
- 覚え方のコツ: 「動脈・正中神経・二頭筋腱膜」が肘窩の関所。上腕動脈と正中神経は二頭筋腱膜の下を一緒にくぐって肘窩に入り、そこで橈骨動脈と尺骨動脈に分かれる。
- 関連知識: 腋窩の四方の壁は、前壁=大胸筋・小胸筋、後壁=広背筋(大円筋・肩甲下筋)、内側壁=前鋸筋、外側壁=上腕骨で囲まれる。
- よくある間違い: 上腕の前面(屈筋群)を支配するのは筋皮神経・正中神経・尺骨神経で、後面(伸筋群)を支配するのは橈骨神経。前後を取り違えやすい。
- 臨床応用: 上腕動脈は内側二頭筋溝で拍動を触れやすく、血圧測定の聴診部位となる。同部での止血・穿刺では伴走する正中神経の損傷に注意する。
比較表
確認問題(その場で確認・記録には残りません)
腋窩の内側壁を構成する筋は( )である。この筋は長胸神経に支配される。
答えを見る
答え: 前鋸筋
※ 確認問題はその場の理解確認用で、復習スケジュール(FSRS)には記録されません。