学習トップ理由で解く 解剖学第8章 ▸ J. 脊髄神経 / Q0622

理由で解く 解剖学

Q0622 神経系

出典:あマ指 第3回(1995) 問題32
問題
大腿神経が通る孔はどれか。
選択肢
1 梨状筋下孔
2 小坐骨孔
3 閉鎖孔
4 筋裂孔
解答
正解4(筋裂孔)
解説
✗ 1. 誤り
梨状筋下孔
梨状筋下孔は大坐骨孔のうち梨状筋の下を通る部分で、坐骨神経・後大腿皮神経・下殿神経・下殿動静脈・陰部神経などが通過する。これらはすべて仙骨神経叢由来の神経であり、腰神経叢由来の大腿神経は通らない。
✗ 2. 誤り
小坐骨孔
小坐骨孔は仙棘靱帯と仙結節靱帯の間の開口部で、内閉鎖筋腱・陰部神経・内陰部動静脈が骨盤内に再進入する経路となる。大腿神経はこの孔を通らず、骨盤内から鼠径靱帯下方の筋裂孔を経て大腿前面に出る。
✗ 3. 誤り
閉鎖孔
閉鎖孔は寛骨にある骨孔で、その上部の閉鎖膜管を「閉鎖神経」と閉鎖動静脈が通過する。大腿神経ではなく、腰神経叢由来の閉鎖神経(L2-L4)の通り道であり、両者を混同しないよう注意が必要である。閉鎖神経は大腿内側の内転筋群を支配する。
✓ 4. 正しい
筋裂孔
鼠径靱帯と寛骨の間は腸恥弓により外側の「筋裂孔(筋腔)」と内側の「血管裂孔(血管腔)」に分けられる。筋裂孔には腸腰筋と「大腿神経」(L2-L4)が、血管裂孔には大腿動静脈・リンパ管が通る。大腿神経は筋裂孔を通って大腿前面に出て、大腿四頭筋・縫工筋を支配し、伏在神経として下腿内側の感覚を担う。
ポイント
  • 大腿神経(L2-L4)は筋裂孔を通って腸腰筋と一緒に大腿前面に出て、大腿四頭筋・縫工筋・恥骨筋を支配する。
  • 覚え方のコツ: 「外側=筋裂孔(神経・腸腰筋)/内側=血管裂孔(動脈・静脈)」と鼠径靱帯下の2部屋を方位で記憶。「神経は筋に乗って出る」とイメージ。
  • 関連知識: 鼠径靱帯下の血管裂孔のさらに内側部分が大腿輪で、ここは大腿ヘルニアの好発部位。閉鎖神経は閉鎖管、坐骨神経は梨状筋下孔と、孔と神経の対応がそれぞれ決まっている。
  • よくある間違い: 大腿神経と閉鎖神経はともに腰神経叢由来だが、通る孔が異なる(筋裂孔 vs 閉鎖管)ことを混同しやすい。さらに「大腿神経が血管裂孔を通る」という誤解にも注意。
  • 臨床応用: 鼠径ヘルニア術後や大腰筋膿瘍では大腿神経麻痺が生じ、膝関節伸展不能(階段下降困難)と大腿前面〜下腿内側の感覚障害(伏在神経領域)を呈する。膝蓋腱反射も消失する。
比較表
孔・裂孔 通過する主な構造物 関連神経叢
筋裂孔(外側) 大腿神経・腸腰筋・外側大腿皮神経 腰神経叢
血管裂孔(内側) 大腿動脈・大腿静脈・大腿輪
閉鎖管 閉鎖神経・閉鎖動静脈 腰神経叢
梨状筋上孔 上殿神経・上殿動静脈 仙骨神経叢
梨状筋下孔 坐骨神経・下殿神経・後大腿皮神経・陰部神経 仙骨神経叢
小坐骨孔 内閉鎖筋腱・陰部神経(再進入)
解説画像
あマ指 第3回(1995) 問題32|大腿神経が通る孔はどれか。 解説図
あマ指 第3回(1995) 問題32|大腿神経が通る孔はどれか。
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