学習トップ理由で解く 解剖学第8章 ▸ G. 脳室系・髄膜・脳脊髄液 / Q0546

理由で解く 解剖学

Q0546 神経系

出典:鍼灸 第32回(2024) 問題21
問題
髄膜について正しいのはどれか。
選択肢
1 硬膜静脈洞は外頸静脈に注ぐ。
2 小脳テントは大脳と小脳の境に位置する。
3 脳実質に最も近い髄膜はクモ膜である。
4 中脳水道は直接クモ膜下腔へ通じる。
解答
正解2(小脳テントは大脳と小脳の境に位置する。)
解説
✗ 1. 誤り
硬膜静脈洞は外頸静脈に注ぐ。
硬膜静脈洞の血液は脳底で集約され、頸静脈孔を貫いて内頸静脈となる。外頸静脈ではない。頭蓋腔を去る静脈血は内頸静脈のみに運ばれる、という点が解剖学上の要点である。外頸静脈は顔面・頭皮浅層の静脈を集めるが、硬膜静脈洞系とは直接つながらない。
✓ 2. 正しい
小脳テントは大脳と小脳の境に位置する。
小脳テントは硬膜が水平方向に広がってつくる硬膜ヒダで、大脳(特に後頭葉)と小脳を上下に区画する。テントの縁(テント切痕)には中脳が通り、テントより上を「テント上(supratentorial)」、下を「テント下(infratentorial)」と呼び、脳神経外科・放射線診断で病変の局在を示す重要な区分名となる。正中では大脳鎌と連続し、脳硬膜の全体として脳を区画する骨格のような役割を果たす。テント切痕ヘルニア(鉤ヘルニア)は頭蓋内圧亢進時に側頭葉内側が下方へ滑り落ちる病態で、動眼神経麻痺などを起こす。
✗ 3. 誤り
脳実質に最も近い髄膜はクモ膜である。
脳および脊髄の表面に最も密着する髄膜は「軟膜」である。髄膜は外側から硬膜・クモ膜・軟膜の順で、クモ膜は中間層に位置する。クモ膜と軟膜の間のクモ膜下腔は脳脊髄液で満たされ、そこをクモの巣状に張られた結合組織線維が走っている。
✗ 4. 誤り
中脳水道は直接クモ膜下腔へ通じる。
中脳水道は第3脳室と第4脳室を結ぶ中脳内の連絡管であり、クモ膜下腔に開口する孔は持たない。クモ膜下腔に直接通じるのは第4脳室の正中口・外側口のみである。
ポイント
  • 小脳テントは大脳と小脳を水平に区画する硬膜ヒダで、上をテント上・下をテント下と呼ぶ。
  • 覚え方のコツ: 髄膜は外から「硬・クモ・軟」の順、脳に最も近いのは軟膜。硬膜静脈洞の出口は〈内〉頸静脈(外頸静脈ではない)。
  • 関連知識: 大脳鎌・小脳テント・小脳鎌の3つの主要硬膜ヒダと、それぞれが仕切る構造の対応が頻出。
  • よくある間違い: 硬膜静脈洞を外頸静脈と結びつける、クモ膜を脳実質に最も近いとする、中脳水道をクモ膜下腔と直結させるなどの取り違え。
  • 臨床応用: 小脳テント切痕を通る鉤ヘルニア(uncal herniation)は側頭葉内側の脱出で、同側動眼神経麻痺と対側片麻痺を起こす緊急病態である。
比較表
髄膜 位置 特徴
硬膜 最外層 膠原線維性・2葉・硬膜ヒダ/静脈洞
クモ膜 中間層 軟膜との間にクモ膜下腔・脳脊髄液
軟膜 最内層 脳・脊髄表面に密着(最も近い)
解説画像
鍼灸 第32回(2024) 問題21|髄膜について正しいのはどれか。 解説図
鍼灸 第32回(2024) 問題21|髄膜について正しいのはどれか。
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