学習トップ理由で解く 解剖学第7章 ▸ A. 下垂体 / Q0459

理由で解く 解剖学

Q0459 内分泌系

出典:鍼灸 第28回(2020) 問題23
問題
下垂体について正しいのはどれか。
選択肢
1 前葉の働きは視床下部の支配を受ける。
2 後葉は乳腺刺激ホルモンを分泌する。
3 神経性下垂体では下垂体門脈系が形成される。
4 腺性下垂体は胎生期に神経管から独立してできる。
解答
正解1(前葉の働きは視床下部の支配を受ける。)
解説
✓ 1. 正しい
前葉の働きは視床下部の支配を受ける。
前葉の働きは間脳の視床下部(隆起核などの神経細胞)の支配を受けている。視床下部の放出ホルモン・抑制ホルモンが下垂体門脈系を介して前葉に運ばれ、前葉ホルモン(GH・PRL・TSH・ACTH・FSH・LH)の分泌を促進・抑制する。この「視床下部—下垂体前葉系」により、ストレス・日内変動・性周期など上位中枢からの情報が末梢内分泌系へ伝わる。TSH→甲状腺、ACTH→副腎皮質、FSH/LH→性腺のように多段階の階層支配を形成する点が内分泌系の特徴であり、本選択肢は正しい。
✗ 2. 誤り
後葉は乳腺刺激ホルモンを分泌する。
下垂体後葉から放出されるホルモンはオキシトシン(子宮収縮・射乳)とバソプレシン(抗利尿)の2つである。乳腺刺激ホルモン(プロラクチン)は下垂体「前葉」から分泌されるホルモンで、後葉の分泌ではない。射乳反射はオキシトシン、乳汁産生はプロラクチンと役割が分かれる。
✗ 3. 誤り
神経性下垂体では下垂体門脈系が形成される。
下垂体門脈系は腺性下垂体で形成される血管系で、隆起部の一次毛細血管網と前葉の二次毛細血管網を小静脈が連絡する。神経性下垂体(後葉)では門脈系は形成されず、視床下部の神経線維が漏斗を下降し軸索末端にホルモンを直接放出する。血管連絡(前葉)vs 神経連絡(後葉)の対比が重要。
✗ 4. 誤り
腺性下垂体は胎生期に神経管から独立してできる。
腺性下垂体は胎生期に原始口腔(咽頭の天井)の上皮が上方へ伸びて形成されたラトケ嚢に由来する上皮性組織で、神経管(神経外胚葉)からは独立せず上皮由来である。一方、神経性下垂体(後葉)は第3脳室底から下方へ突出した神経組織で、神経管から分化する。起源が逆になる典型的な引っかけで注意。
ポイント
  • 視床下部の放出ホルモンは下垂体門脈系を介して前葉に運ばれ、前葉ホルモン(GH・PRL・TSH・ACTH・FSH・LH)の分泌を調節する。前葉は視床下部支配下の内分泌腺である。
  • 覚え方のコツ: 前葉ホルモン6種は「成プロ 甲副 卵黄」(GH・PRL/TSH・ACTH/FSH・LH)で6つを指折り記憶。後葉2種は「オバ(OT・VP)」で2つだけ。
  • 関連知識: TRH→TSH→T3/T4、CRH→ACTH→コルチゾール、GnRH→FSH/LH→性ホルモンという3段階軸を形成し、末梢ホルモンのネガティブフィードバックが視床下部・下垂体に返る。
  • よくある間違い: プロラクチンを後葉から分泌と誤記/下垂体門脈を後葉にあると誤認/腺性下垂体を神経管由来と誤記(上皮由来)。
  • 臨床応用: 視床下部障害ではGnRH低下による続発性無月経・性腺機能低下がみられる。シーハン症候群は分娩時出血で下垂体前葉が虚血壊死し、汎下垂体機能低下症を起こす。
比較表
視床下部放出ホルモン 前葉ホルモン 標的器官/末梢ホルモン
GHRH(促進)/ソマトスタチン(抑制) GH(成長ホルモン) 全身・IGF-1
PIF(ドーパミン、抑制優位) PRL(プロラクチン) 乳腺(乳汁産生)
TRH TSH(甲状腺刺激ホルモン) 甲状腺/T3・T4
CRH ACTH(副腎皮質刺激ホルモン) 副腎皮質/コルチゾール
GnRH FSH・LH(性腺刺激ホルモン) 卵巣・精巣/E2・P4・T
解説画像
鍼灸 第28回(2020) 問題23|下垂体について正しいのはどれか。 解説図
鍼灸 第28回(2020) 問題23|下垂体について正しいのはどれか。
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