
この図の解説
図の中央、赤い樹木のように枝分かれした突起が絨毛であり、その内部には胎児の毛細血管が走る。絨毛の周囲を埋める空間が絨毛間腔で、ここは母体の血液で満ちる。まず臍帯に注目すると、上向きの赤い矢印が臍静脈(1本・動脈血)、下向きの青い矢印が臍動脈(1対・静脈血)で、色の常識と逆転している点が最大の見どころである。臍動脈は胎児の老廃物とCO₂を運んで絨毛の毛細血管ループに移行し、絨毛間腔の母体血との間でガス・栄養交換を行う。図の下方では子宮筋層かららせん状の子宮動脈が絨毛間腔へ母体血を噴き込み、子宮静脈が回収する流れが描かれる。ここで押さえるべきは、絨毛膜という壁を隔てて胎児血と母体血は直接混じり合わず、物質のみが交換される点である。上から絨毛膜・脱落膜・子宮筋層と層構造が積み重なることも確認したい。
学習の要点
- 絨毛(胎児の毛細血管が走る)が絨毛間腔(母体血で満たされる)に浸り、両者の血液は絨毛膜を隔てて直接混じらずガス・栄養交換だけを行う
- 覚え方のコツ: 「臍動脈=静脈血・臍静脈=動脈血」は"心臓から出る/心臓へ戻る"ではなく"胎児から出る/胎児へ戻る"で決まると考えると逆転が腑に落ちる
- 関連知識: 臍動脈は胎児の内腸骨動脈から1対で分枝し臍帯を通って胎盤へ、臍静脈は1本で胎児へ戻り肝臓下面で静脈管(アランチウス管)に移行する
- よくある間違い: 「動脈だから動脈血」と機械的に対応させると誤る。血管名(動脈/静脈)は血液の向きを、血液名(動脈血/静脈血)は酸素量を表す別概念
- 臨床応用: 通常の臍帯は臍動脈2本・臍静脈1本の三血管からなり、この本数関係は胎盤の血流構造を理解する土台となる
比較表
確認問題(その場で確認・記録には残りません)
胎盤で、胎児の毛細血管が走る樹枝状の突起を( )といい、それが浸される母体血の満ちた空間を絨毛間腔という。
答えを見る
答え: 絨毛
※ 確認問題はその場の理解確認用で、復習スケジュール(FSRS)には記録されません。