学習トップ理由で解く 解剖学第4章 ▸ D. 食道 / Q0283

理由で解く 解剖学

Q0283 消化器系

出典:あマ指 第32回(2024) 問題20
問題
食道について正しいのはどれか。
選択肢
1 粘膜は単層円柱上皮からなる。
2 胸郭上口に生理的狭窄部がある。
3 後面に気管膜性壁が接する。
4 食道裂孔を迷走神経とともに通過する。
解答
正解4(食道裂孔を迷走神経とともに通過する。)
解説
✗ 1. 誤り
粘膜は単層円柱上皮からなる。
食道粘膜は機械的刺激が強いため重層扁平上皮からなる。食道・胃接合部(Z線)で単層円柱上皮の胃粘膜に急激に変わる。単層円柱上皮とする記述は誤りである。
✗ 2. 誤り
胸郭上口に生理的狭窄部がある。
食道の生理的狭窄部は、①食道入口部(輪状軟骨後方、第6頸椎)、②気管分岐部(大動脈弓と左気管支による圧迫、第4〜5胸椎)、③横隔膜食道裂孔部(第10胸椎)の3カ所である。胸郭上口は食道入口部のやや下方だが、厳密には狭窄部ではない。記述は誤りである。
✗ 3. 誤り
後面に気管膜性壁が接する。
食道は脊柱の前、気管の後方を下降する。したがって食道の前面に気管の膜性壁(気管後壁の筋膜成分)が接するが、「後面に気管膜性壁」は前後関係が逆で誤り。食道と気管の位置関係は「気管が前、食道が後」であり、気管切開・食道鏡挿入時の解剖として重要。
✓ 4. 正しい
食道裂孔を迷走神経とともに通過する。
食道は第10胸椎の高さで横隔膜の食道裂孔を貫き、胸腔から腹腔へ移行する。食道裂孔には食道と並走してきた左右の迷走神経(左迷走神経の前幹・右迷走神経の後幹)が食道とともに通過し、腹腔内に達して腹腔神経叢を形成する。したがって「食道裂孔を迷走神経とともに通過する」という記述は正しく、本問の正解となる。食道の走行「咽頭(C6)→脊柱前+気管後→食道裂孔(Th10)」は3狭窄部と関連させて整理する。
ポイント
  • 食道は食道裂孔(Th10)を迷走神経(前幹・後幹)とともに通過して腹腔に達する。粘膜は重層扁平上皮。
  • 覚え方のコツ: 食道の3狭窄は「入口(C6)/気管分岐部(Th4-5、大動脈弓交叉)/食道裂孔(Th10)」を上・中・下の3段で記憶。異物や悪性腫瘍の好発部位である。
  • 関連知識: 食道の長さは約25cm、胸腔では「脊柱の前・気管の後」を下降し、心臓の後方を通過。筋層は上部1/3が骨格筋、中部1/3が混合、下部1/3が平滑筋。
  • よくある間違い: 食道粘膜を単層円柱上皮と誤認/気管と食道の前後関係を逆に覚える/食道裂孔を胸管が通ると誤解。
  • 臨床応用: 食道の生理的狭窄部は誤嚥した異物の停滞、食道癌の好発部位となる。肝硬変では食道下部静脈瘤が形成され破裂で大量吐血を起こす。食道裂孔ヘルニアは胃が胸腔側に逸脱する病態。
比較表
狭窄部位 椎体レベル 原因となる解剖学的要因
食道入口部 第6頸椎 輪状咽頭筋(下咽頭収縮筋の下部線維)
気管分岐部 第4〜5胸椎 大動脈弓と左主気管支の外部圧迫
食道裂孔部 第10胸椎 横隔膜食道裂孔の狭窄
解説画像
あマ指 第32回(2024) 問題20|食道について正しいのはどれか。 解説図
あマ指 第32回(2024) 問題20|食道について正しいのはどれか。
この問題の解説の修正を依頼する

解説に誤り・改善点があればお知らせください。件名と本文は自動入力済みです(編集できます)。お名前・メールアドレスは任意です。送信内容は玄康株式会社(黒澤一弘)に届きます。

この問題をアプリで理由で解く 解剖学
App Store入手