
この図の解説
この図でまず注目すべきは、全身を「右上半身」と「それ以外」の2つの領域に分ける色分けである。左側の淡桃色が右リンパ本幹の担当領域、黄色がはるかに広い胸管の担当領域を示す。図の左右の流れ図をたどると、下半身のリンパは2系統から集まる。骨盤と下肢のリンパは鼠径リンパ節を経て腰リンパ本幹へ、腸管からの乳び管は腸間膜を通って腸リンパ本幹へ入る。両者は横隔膜の大動脈裂孔付近で合流し、大動脈の後方で袋状にふくらんだ乳び槽をなす。乳び槽は太い胸管へ移行し、脊柱の前を上行して左の静脈角に注ぐ。静脈角付近で胸管には左頸リンパ本幹と左鎖骨下リンパ本幹も合流するため、胸管には右上半身を除く全身のリンパが集まる。右上半身だけは右頸リンパ本幹と右鎖骨下リンパ本幹が合流した右リンパ本幹となり、右の静脈角へ注ぐ。静脈角は内頸静脈と鎖骨下静脈の合流部である。
学習の要点
- リンパ本幹は最終的に左右の静脈角(内頸静脈と鎖骨下静脈の合流部)に注ぎ、リンパは静脈血に還流する。
- 覚え方のコツ: 「右上半身だけが右リンパ本幹→右静脈角」「残り全部(下半身+左上半身)は胸管→左静脈角」と、右上1/4だけ別扱いと押さえる。
- 関連知識: 下半身のリンパは腰リンパ本幹と腸リンパ本幹が大動脈裂孔付近で合流し、乳び槽(大動脈後方の袋状のふくらみ)を経て胸管となる。乳び管には脂質を含む白濁した乳びが流れる。
- よくある間違い: 胸管を「左半身だけ」と誤認しやすいが、実際は下半身全体+左上半身+左頭頸部を集める。左右対称に半分ずつ分けるのではない。
- 臨床応用: 胸管は最大のリンパ本幹で、損傷すると乳び胸を生じる。左鎖骨上窩のリンパ節(ウィルヒョウ転移)は胃がんなどの腹部悪性腫瘍がこの経路をさかのぼって転移する部位として知られる。
比較表
確認問題(その場で確認・記録には残りません)
腰リンパ本幹と腸リンパ本幹は横隔膜の大動脈裂孔付近で合流し、大動脈の後方に袋状の膨らみをなす。この膨らみを( )という。
答えを見る
答え: 乳び槽
※ 確認問題はその場の理解確認用で、復習スケジュール(FSRS)には記録されません。