学習トップ理由で解く 解剖学第2章 ▸ F. リンパ系 / Q0196

理由で解く 解剖学

Q0196 循環器系

出典:あマ指 第28回(2020) 問題20
問題
胸管について正しいのはどれか。
選択肢
1 弁がみられる。
2 右の静脈角に注ぐ。
3 食道裂孔を通過する。
4 第4 腰椎の高さで形成される。
解答
正解1(弁がみられる。)
解説
✓ 1. 正しい
弁がみられる。
胸管は最大のリンパ本幹(長さ約35〜40cm)で、他のリンパ管と同様に内腔に弁(半月弁)を持ち、リンパ液の逆流を防ぎ一方向性の上行を保証する。静脈壁よりも薄いが、リンパ管特有の数珠状の外観は壁にある弁構造によるものである。したがって記述は正しく、本問の正解となる。胸管の終着点(左静脈角)付近にも弁があり、静脈血のリンパ管への逆流を防ぐ。
✗ 2. 誤り
右の静脈角に注ぐ。
胸管は左静脈角(左内頸静脈と左鎖骨下静脈の合流部)に注ぐ。右静脈角に注ぐのは右リンパ本幹で、右上半身(右頭頸部・右上肢・右胸郭)のリンパのみを集める。胸管と右リンパ本幹の流入部位は頻出事項で、左右を逆にしないよう注意。
✗ 3. 誤り
食道裂孔を通過する。
胸管は横隔膜の大動脈裂孔(第12胸椎高)を大動脈・奇静脈とともに通過する。食道裂孔を通るのは食道と迷走神経であり、胸管は通らない。大動脈裂孔通過が正しく、食道裂孔通過は誤りである。
✗ 4. 誤り
第4 腰椎の高さで形成される。
胸管の起始部は第1〜2腰椎の前面に形成される乳び槽(Cisterna chyli)で、ここで左右の腰リンパ本幹と腸リンパ本幹が合流する。第4腰椎ではなく第1〜2腰椎レベルが正しく、本肢は誤りである。
ポイント
  • 胸管はリンパ管であり、内腔には多数の半月弁があってリンパの逆流を防ぐ。左静脈角に注ぎ、全身リンパの約3/4を集める。
  • 覚え方のコツ: 「起始=Th12下方の乳び槽→大動脈裂孔を通過→左静脈角へ」。集めるのは「右上半身以外=右下半身+左半身全部」。
  • 関連知識: 右上半身(右頭頸・右上肢・右胸郭上部)のリンパは右リンパ本幹が集めて右静脈角に注ぐ。乳び槽は第1〜2腰椎前面に形成される。
  • よくある間違い: 胸管を右静脈角に注ぐと誤認/食道裂孔通過と誤解/乳び槽を第4腰椎と誤認/リンパ管に弁はないと思い込む。
  • 臨床応用: 胸管損傷は胸部外科手術(特に食道手術)の合併症として乳び胸(chylothorax)を起こす。乳がんの乳び性腹水や、先天性リンパ管奇形でも重要。
比較表
項目 胸管 右リンパ本幹
集めるリンパ 右上半身を除く全身(約3/4) 右頭頸部・右上肢・右胸郭上部
起始 第1〜2腰椎前面の乳び槽 右頸部で短く合流
横隔膜通過孔 大動脈裂孔(Th12)
終着点 左静脈角 右静脈角
弁の有無 あり(半月弁) あり
解説画像
あマ指 第28回(2020) 問題20|胸管について正しいのはどれか。 解説図
あマ指 第28回(2020) 問題20|胸管について正しいのはどれか。
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