学習トップ理由で解く 解剖学第2章 ▸ D. 静脈系 / Q0165

理由で解く 解剖学

Q0165 循環器系

出典:鍼灸 第30回(2022) 問題19
問題
静脈について正しいのはどれか。
選択肢
1 奇静脈は腕頭静脈に注ぐ。
2 大伏在静脈は大腿静脈に注ぐ。
3 尺側皮静脈は鎖骨胸筋三角を通る。
4 肝静脈は肝門を通る。
解答
正解2(大伏在静脈は大腿静脈に注ぐ。)
解説
✗ 1. 誤り
奇静脈は腕頭静脈に注ぐ。
奇静脈は脊柱右側を上行し、第4胸椎あたりで前方に弓状に湾曲して上大静脈の後面に直接注ぐ。腕頭静脈は内頸静脈と鎖骨下静脈の合流で作られる静脈で、左右が合わさって上大静脈になる別構造。奇静脈と腕頭静脈は発生学的にも異なる系統。
✓ 2. 正しい
大伏在静脈は大腿静脈に注ぐ。
大伏在静脈は下肢最長の皮静脈で、足背静脈網内側から内果の前方を通り下腿・大腿の内側皮下を上行し、鼠径部の伏在裂孔で深筋膜を貫いて大腿三角内の大腿静脈に注ぐ。注ぐ直前に外陰部静脈・浅腹壁静脈・浅腸骨回旋静脈の浅在枝を受ける。
✗ 3. 誤り
尺側皮静脈は鎖骨胸筋三角を通る。
尺側皮静脈は上腕では二頭筋の内側を上行するが、上腕の中央付近で深筋膜を貫いて深部に潜り込み上腕静脈に合流する。鎖骨胸筋三角を通って腋窩静脈に注ぐのは橈側皮静脈で、両者の終末は明確に区別される。
✗ 4. 誤り
肝静脈は肝門を通る。
肝門を通るのは門脈・固有肝動脈・胆管などの「肝臓への出入り口」構造であり、肝静脈は肝門ではなく肝臓後上面から直接下大静脈に注ぐ。肝門と下大静脈孔(肝の後面で下大静脈が食い込む部位)は解剖学的に別位置で、肝静脈は後者で下大静脈に合流する。
ポイント
  • 大伏在静脈は足背内側→内果の前方→大腿内側→伏在裂孔→大腿静脈、という「ほぼ直線的な内側ルート」を通り、下肢皮静脈の代表格である。
  • 覚え方のコツ: 「伏在は内側・深部に潜る先は大腿静脈(下肢)/腋窩静脈(上肢:橈側皮)/上腕静脈(上肢:尺側皮)」と3本セットで暗記。
  • 関連知識: 肝門は肝臓の下面で門脈・固有肝動脈・胆管・神経・リンパ管が出入りする構造。肝静脈の出る場所は別の「大静脈溝」であり、解剖学的に異なる領域。
  • よくある間違い: 肝静脈と門脈を「どちらも肝門を通る」と混同する。門脈は入る、肝静脈は出る、という機能対応で区別。
  • 臨床応用: 大伏在静脈は最長で皮下を直線走行するため、冠動脈バイパス術や下肢動脈バイパスのグラフトに採取される。内果前方からは静脈路確保・静脈切開(cut-down)の標準部位。
比較表
血管 肝臓との関係
門脈 肝門から入る(機能血管)
固有肝動脈 肝門から入る(栄養血管)
胆管 肝門から出る
肝静脈 肝臓後上面から出て下大静脈へ直接合流
解説画像
鍼灸 第30回(2022) 問題19|静脈について正しいのはどれか。 解説図
鍼灸 第30回(2022) 問題19|静脈について正しいのはどれか。
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