学習トップ理由で解く 解剖学第2章 ▸ D. 静脈系 / Q0163

理由で解く 解剖学

Q0163 循環器系

出典:あマ指 第25回(2017) 問題19
問題
門脈-体循環吻合に関与するのはどれか。
選択肢
1 肝静脈
2 腎静脈
3 臍傍静脈
4 上行腰静脈
解答
正解3(臍傍静脈)
解説
✗ 1. 誤り
肝静脈
肝静脈は肝臓の類洞で処理された血液を下大静脈に排出する出口であり、門脈から流れ込んだ血液は必ずここを通って全身に戻る「正規ルート」の一部である。側副循環は正規経路が閉塞・渋滞したときの迂回路であり、肝静脈はそれに該当しない。
✗ 2. 誤り
腎静脈
腎静脈は腎臓から下大静脈へ注ぐ体循環系内の単独静脈で、門脈系とは解剖学的な吻合を持たない。左腎静脈が腹大動脈と上腸間膜動脈の間で圧迫されるnutcracker現象で側副路が発達することはあるが、それは腎静脈同士・腎静脈と左性腺静脈間の吻合であって門脈-体循環吻合ではない。
✓ 3. 正しい
臍傍静脈
臍傍静脈は肝臓の下面(門脈左枝)と臍を結ぶ細い静脈で、正常時は閉じているに等しいが門脈圧亢進時に拡張して臍周囲の皮静脈(腹壁静脈)と吻合し、上下の大静脈へ門脈血を逃がす側副路となる。臍を中心に放射状に怒張した皮静脈は「メデューサの頭」と呼ばれる肝硬変の典型徴候。
✗ 4. 誤り
上行腰静脈
上行腰静脈は腰静脈と奇静脈系(右は奇静脈、左は半奇静脈)を縦に連絡する体循環系内の吻合で、下大静脈閉塞時に上下大静脈間のバイパスとなる重要な側副路だが、門脈系とは接続を持たない。門脈-体循環吻合ではなく「体-体(下大静脈-上大静脈)吻合」である。
ポイント
  • 臍傍静脈は胎児期の臍静脈の名残であり、門脈左枝と皮下静脈を橋渡しする。門脈圧亢進時にのみ機能的に開通する。
  • 覚え方のコツ: 「へその穴から門脈血が逃げる=臍傍静脈」「腰から背中へ縦に逃げる=上行腰静脈(体-体吻合)」と位置で区別。
  • 関連知識: 胎児期の臍静脈は肝円索(肝鎌状間膜内)として成人に残り、臍傍静脈はその周辺に発達する非常に細い側副血管である。
  • よくある間違い: 上行腰静脈を「側副路」と覚えて門脈-体循環吻合と勘違いする。上行腰静脈の吻合は体循環内での上下大静脈間吻合である。
  • 臨床応用: 「メデューサの頭」は肝硬変・門脈圧亢進の視診所見。臍から放射状に怒張する腹壁皮静脈を見たら下腹部では足方向、上腹部では頭方向へ血流が流れているかを触診で確認する(Trendelenburg試験)。
比較表
側副路 接続する静脈 見た目の徴候
食道静脈叢 胃左静脈(門脈)⇔奇静脈(上大静脈) 食道静脈瘤・吐血
直腸静脈叢 上直腸静脈(門脈)⇔中下直腸静脈(内腸骨) 痔核・痔出血
臍傍静脈 門脈左枝⇔腹壁皮静脈(上下大静脈) メデューサの頭
上行腰静脈※ 腰静脈⇔奇静脈系 ※体-体吻合(参考)
解説画像
あマ指 第25回(2017) 問題19|門脈-体循環吻合に関与するのはどれか。 解説図
あマ指 第25回(2017) 問題19|門脈-体循環吻合に関与するのはどれか。
この問題の解説の修正を依頼する

解説に誤り・改善点があればお知らせください。件名と本文は自動入力済みです(編集できます)。お名前・メールアドレスは任意です。送信内容は玄康株式会社(黒澤一弘)に届きます。

この問題をアプリで理由で解く 解剖学
App Store入手