
この図の解説
図は門脈系の血液が体循環系へ逃げる3本の側副路を、縦に「上流→出血病態→中継静脈→注ぐ大静脈」の順で並べている。左から①左胃静脈、②上直腸静脈、③臍傍静脈で、いずれも上段が門脈系、下段が体循環系である点に注目したい。肝硬変やがんで肝臓内の血流が妨げられると門脈がうっ血し、門脈圧が高まる(門脈圧亢進)。逃げ場を失った門脈血は、ふだんは機能しない門脈系と体循環系の吻合部(側副循環路)を通って大静脈へ還流する。その際、吻合部の細い静脈が怒張・破綻することが臨床上の問題となり、①では食道静脈瘤破裂、②では痔核、③ではメデューサの頭が生じる。図の赤字(食道静脈瘤破裂・痔核・メデューサの頭)が各路の代表的病態を示している。
学習の要点
- 門脈圧亢進の原因は肝硬変・肝がんなど肝内の血流障害で、門脈のうっ血→門脈圧上昇→腹水貯留と側副循環路の怒張が起こる。
- 覚え方のコツ:「食道・直腸・臍(へそ)」の3か所と「静脈瘤・痔核・メデューサ」を1対1で結ぶ。上流の門脈側と下流の体循環側が吻合する場所と覚える。
- 関連知識:門脈は脾静脈・上腸間膜静脈・下腸間膜静脈が合してできる機能血管で、胃腸・膵臓・脾臓の血液を肝臓へ運ぶ。側副路は肝臓を迂回して大静脈へ抜ける。
- よくある間違い:側副循環路は「新しくできる血管」ではなく、正常でも存在する門脈系-体循環系の吻合が、圧亢進で拡張して目立つようになったもの。
- 臨床応用:食道静脈瘤の破綻は大量吐血を招き致命的。臍を中心に放射状に広がる皮静脈怒張がメデューサの頭で、門脈圧亢進を示す身体所見となる。
比較表
確認問題(その場で確認・記録には残りません)
③の側副路では、( )静脈を経て臍周囲の前腹壁の皮静脈に血液が流れ込み、放射状の皮静脈怒張(メデューサの頭)を生じる。空欄に入る語を答えよ。
答えを見る
答え: 臍傍
※ 確認問題はその場の理解確認用で、復習スケジュール(FSRS)には記録されません。