学習トップ理由で解く 解剖学第1章 ▸ C. 体表構造(皮膚) / Q0050

理由で解く 解剖学

Q0050 人体の構成

出典:鍼灸 第6回(1998) 問題31
問題
皮膚に関して正しい記述はどれか。
選択肢
1 汗腺に交感神経が分布する。
2 爪に感覚神経が分布する。
3 手掌部にアポクリン汗腺が分布する。
4 表皮に毛細血管が分布する。
解答
正解1(汗腺に交感神経が分布する。)
解説
✓ 1. 正しい
汗腺に交感神経が分布する。
汗腺(エクリン汗腺・アポクリン汗腺)はいずれも自律神経の支配を受けるが、例外的に交感神経節後線維でありながら神経伝達物質にアセチルコリンを用いる(エクリン汗腺)。立毛筋や皮膚血管と並び、皮膚の自律神経支配はすべて交感神経系に属する点が重要である。精神的発汗や温熱性発汗もこの経路で起こる。
✗ 2. 誤り
爪に感覚神経が分布する。
爪自体は角化した無血管・無神経の組織であり、感覚神経は分布しない。爪床の真皮には神経終末が豊富で、爪をはがした際の痛みはこの爪床の神経に由来する。
✗ 3. 誤り
手掌部にアポクリン汗腺が分布する。
アポクリン汗腺は腋窩・乳輪・肛門周囲・外陰部などに限局して分布し、手掌には存在しない。手掌・足底に豊富なのはエクリン汗腺(小汗腺)である。
✗ 4. 誤り
表皮に毛細血管が分布する。
表皮には血管は分布しない。真皮の乳頭まで伸びた毛細血管から拡散によって表皮が栄養を受ける構造である。血管が直接入らないため、表皮の傷では出血せず、真皮に達して初めて出血する。
ポイント
  • 皮膚の自律神経支配(汗腺・立毛筋・血管)はすべて交感神経系であり、副交感神経は関与しない。
  • 覚え方のコツ: 「皮膚は交感神経のみ」。汗腺・立毛筋・皮膚血管の3つをセットで暗記する。
  • 関連知識: エクリン汗腺は交感神経節後線維だが伝達物質はアセチルコリン(例外的なコリン作動性交感線維)。アポクリン汗腺はノルアドレナリン作動性。表皮は無血管・爪は無神経という原則も重要。
  • よくある間違い: 「汗腺は副交感神経支配」「表皮に毛細血管がある」「爪に感覚神経がある」は頻出の誤解。
  • 臨床応用: 手掌多汗症では交感神経を介した精神性発汗が過剰となる。治療として胸部交感神経節切除術(ETS)が行われることがある。
比較表
皮膚構造 神経支配 伝達物質
エクリン汗腺 交感神経 アセチルコリン(例外)
アポクリン汗腺 交感神経 ノルアドレナリン
立毛筋 交感神経 ノルアドレナリン
皮膚血管 交感神経 ノルアドレナリン
解説画像
鍼灸 第6回(1998) 問題31|皮膚に関して正しい記述はどれか。 解説図
鍼灸 第6回(1998) 問題31|皮膚に関して正しい記述はどれか。
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