学習トップ / 教科書ドリル 生理学 / 第3章 ▸ B. 換気とガス交換 / Q03B034
教科書ドリル 生理学
酸素解離曲線の右方移動を起こす因子として誤っているのはどれか。
正解は2(pH上昇は**左方移動**因子)。右方移動=組織でO₂を放出しやすくなる方向、左方移動=肺でO₂を結合しやすくなる方向。
**①CO₂↑・H⁺↑(pH↓)の機序 — ボーア効果**
組織で代謝の結果CO₂が増えると、水と反応してH⁺が発生する(CO₂+H₂O→H⁺+HCO₃⁻)。**このH⁺がヘモグロビン(Hb)分子の特定のアミノ酸残基に結合するとHbの立体構造が変化し、O₂を抱える力が弱まる**(R状態→T状態)。結果、H⁺・CO₂の多い場所(=組織)でHbはO₂を手放しやすくなり、必要な場所に効率よくO₂を届けられる。これがボーア効果。
**②温度上昇の機序**
温度が高いと分子運動が活発になり、Hb-O₂結合が物理的にゆるむ。運動中の筋肉では「発熱+CO₂↑+H⁺↑」が同時に起こり、O₂供給が一気に促進される(生理的合目的)。
**③2,3-DPG(2,3-ジホスホグリセリン酸)とは何か — 教科書外の補足知識**
赤血球内で解糖系の途中で作られる代謝物質。**Hbの内部空隙に結合してO₂親和性を下げる**働きがある。**慢性低酸素状態(高地住民・貧血・心肺疾患)では2,3-DPGが増加**し、限られたO₂を組織に届ける適応反応として働く。臨床補足:輸血用の保存血液では2,3-DPGが減少しているため、輸血直後はO₂供給能が一時的に落ちることがある。
**④pH上昇=左方移動の機序(選択肢2が誤りの理由)**
pH上昇=H⁺低下のため、HbにH⁺が結合しにくくなる。Hbは元の「O₂を抱える形(R状態)」に戻り、O₂と結合しやすい状態になる(=O₂を離しにくくなる)。過換気でCO₂が減るアルカローシスでは、肺ではO₂を取り込みやすいが、組織でO₂を放出しにくくなり、組織低酸素を起こしうる。
**【まとめの覚え方】**
- 右方移動=「組織でO₂を渡したい時の状態」(代謝亢進・運動・慢性低酸素適応)
- 左方移動=「肺でO₂を取り込みたい時の状態」(過換気・低体温)
- CO₂・H⁺(pH↓)・温度・2,3-DPG はすべて「**組織側にO₂を届ける**」方向に協調して働く。

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