
この図の解説
まず左右の図を見比べてほしい。どちらも上から視床下部の神経細胞が伸び、下方に下垂体がぶら下がる同じ構図だが、ホルモンが体内へ出ていく「経路」がまったく違う。左の前葉(腺性下垂体)では、視床下部の隆起核が分泌した視床下部ホルモンが、いったん一次毛細血管網に放出され、下垂体門脈を通って前葉へ運ばれる。それを受け取った前葉の腺細胞が、GHやTSHなど自前のホルモンを血中へ分泌する。つまり前葉は「腺細胞のかたまり」であり、ホルモンをつくるのは前葉自身だ。一方、右の後葉(神経性下垂体)には腺細胞がない。オキシトシンとバゾプレッシンは視床下部の室傍核・視索上核でつくられ、神経線維の中を軸索輸送で下降して後葉に達し、そこの毛細血管網へ放出される。後葉は「視床下部の神経線維が伸びてきたもの」で、貯蔵と放出の場にすぎない点を、図の黄色い神経線維がそのまま後葉内部まで届いている様子で確認しよう。
学習の要点
- 前葉=腺性下垂体(腺細胞のかたまり)/後葉=神経性下垂体(視床下部の神経線維の延長)。ホルモンを「つくる場所」が両者で決定的に異なる。
- 覚え方のコツ: 前葉は「門脈で運ばれる(血管経由)」、後葉は「軸索で運ばれる(神経経由)」。前=門脈・後=軸索とセットで暗記する。
- 関連知識: 前葉ホルモンは視床下部の放出/抑制ホルモンが下垂体門脈系を介して調節する。後葉ホルモン(オキシトシン・バゾプレッシン)は視索上核・室傍核でつくられる。
- よくある間違い: 「後葉がオキシトシン・バゾプレッシンを産生する」は誤り。産生は視床下部で、後葉は蓄積・放出するだけ。
- 臨床応用: オキシトシンは子宮・乳腺の平滑筋を収縮させ陣痛促進剤に用いられ、バゾプレッシンは腎集合管での水の再吸収を促す抗利尿ホルモン(ADH)として働く。
比較表
確認問題(その場で確認・記録には残りません)
下垂体後葉ホルモンであるオキシトシンとバゾプレッシンは、視床下部の( )でつくられ、神経線維内を下降して後葉に蓄積される。空欄に入る語を答えよ。
答えを見る
答え: 視索上核・室傍核
※ 確認問題はその場の理解確認用で、復習スケジュール(FSRS)には記録されません。