
この図の解説
この図は、神経細胞の軸索末端が次の細胞へ興奮を伝えるシナプスの働きを、①〜⑥の番号で順を追って示している。まず注目すべきは、伝達が電気ではなく化学物質を介して起こる点である。①軸索末端に活動電位が到達すると、②電位依存性Caチャネルが開いてCaイオンが流入する。③このCaイオン流入が引き金となり、シナプス小胞に貯えられた神経伝達物質が開口放出される。④放出された神経伝達物質はシナプス間隙を横切り、⑤シナプス後膜の受容体に結合してリガンド作動チャネルを開き、シナプス後細胞にイオンを流入させて段階的な電位変化を起こす。⑥最後は前細胞への再取り込み・酵素分解・拡散によって濃度が下がり、伝達が終息する。前細胞・間隙・後細胞という3つの場を、Caチャネル(電位依存性)と受容体チャネル(リガンド作動性)が役割分担している構図を読み取りたい。
学習の要点
- シナプス伝達はCaイオン流入→神経伝達物質放出→受容体結合という化学的な一方向の連鎖で進む。
- 覚え方のコツ: 前細胞では「電位依存性Caチャネル」、後細胞では「リガンド作動チャネル」。開く合図が"電位"か"物質(リガンド)"かで対にして覚える。
- 関連知識: 軸索末端に活動電位を運ぶのはナトリウムチャネルの働きで、静止電位を保つのはナトリウム-カリウムポンプ。骨格筋とのシナプス(運動終板)では後細胞が筋線維になる。
- よくある間違い: 軸索末端で開くのをカリウムチャネルやリガンド作動チャネルと取り違える。前細胞で開くのは電位依存性Caチャネル。
- 臨床応用: 神経伝達物質の分解や再取り込みを妨げる薬は伝達を増強・遷延させる。伝達の終息機構を理解しておくと薬理の基礎が整理しやすい。
比較表
確認問題(その場で確認・記録には残りません)
軸索末端に活動電位が到達すると( )が開き、流入したイオンがシナプス小胞からの神経伝達物質の放出を促す。( )に入る語を答えよ。
答えを見る
答え: 電位依存性カルシウム(Ca)チャネル
※ 確認問題はその場の理解確認用で、復習スケジュール(FSRS)には記録されません。