学習トップ / 理由で解く 臨床医学各論 / 第13章 ▸ H. 精神科疾患 / Q11H088
理由で解く 臨床医学各論
思考制止(考えが前に進まず、頭の回転が遅く重く感じる状態)は、抑うつ状態に伴う代表的な精神症状である。したがって思考制止がみられる代表的な精神疾患はうつ病である。
抑うつ状態は、気分の落ち込み(抑うつ気分)と興味・喜びの喪失を中核とし、意欲低下・思考制止・易疲労感・食欲低下・睡眠障害などを伴う状態をいう。つまり思考制止は「気分の障害に引きずられて思考の流れが遅くなる」症状であり、考えの内容が病的にゆがむ(妄想)のでも、話の筋道がばらばらになる(連合弛緩)のでもない点が鑑別の要になる。うつ病では、思考制止に加えて意欲・行動の制止(精神運動制止)も同時に現れ、「決められない」「仕事が進まない」といった訴えとして表面化する。身体症状(肩こり・倦怠感・食欲不振・不眠)を主訴に施術所を訪れることも多く、希死念慮・幻覚妄想・著しい体重減少・日常生活が営めないなどがあれば精神科医療につなぐことを優先する。
| 疾患・状態 | 思考面の特徴 | 前面に出る症状 |
|---|---|---|
| うつ病(抑うつ状態) | 思考制止(遅く重くなる) | 抑うつ気分、興味・喜びの喪失、意欲低下、食欲低下、睡眠障害 |
| 不安神経症 | 過剰な心配が続く(思考の速度は保たれる) | 不安・恐怖、動悸・息苦しさなどの自律神経症状 |
| 心身症 | 思考の障害は主体でない | 心理社会的因子が関わる身体疾患(気管支喘息・消化性潰瘍・過敏性腸症候群など)。器質的・機能的障害を伴う |
| 統合失調症 | 思考途絶・連合弛緩 | 幻覚・妄想、まとまりのなさ |
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