
この図の解説
正中断面で大脳半球の内側面をみた図で、脳幹を取り囲むように並ぶ大脳辺縁系の構造が一望できる。前下方の嗅球・嗅索から始まり、脳梁を弓なりに囲む帯状回、その下方に脳弓・海馬・歯状回・扁桃体が連なる。これらは系統発生的に古い古皮質に属し、大脳皮質の約90%を占める新皮質とは対照的に、脳の内側深部で輪状の帯(リム)を形づくる。下の表は辺縁系を原皮質・古皮質・中間皮質に区分し、海馬・歯状回は記憶と空間認識、嗅脳(嗅球・嗅索)は嗅覚処理と情動反応、帯状回・海馬傍回は情動の統合と新皮質・古皮質の橋渡しを担うことを示す。全体として本能行動・情動行動を支配する中枢である。
学習の要点
- 大脳辺縁系は古皮質(嗅脳・帯状回・海馬)に扁桃体などが加わって形成され、本能行動・情動行動を支配する。
- 覚え方のコツ: 脳梁を取り囲む「輪=limbic(リム)」。嗅球→帯状回→海馬→扁桃体と脳幹をぐるり一周でつなげて覚える。
- 関連知識: 嗅覚は視床を中継しない唯一の感覚で、鼻腔の嗅上皮→嗅球→側頭葉内側面の嗅覚野(古皮質)へ直接伝わる。
- よくある間違い: 海馬・帯状回・嗅脳は系統発生的に古い皮質(広義の古皮質)で、大脳辺縁系を構成する。下表のより細かい区分では海馬・歯状回=原皮質、嗅脳=(狭義の)古皮質、帯状回・海馬傍回=中間皮質に分けられる。いずれも新皮質(大脳皮質の約90%を占め意識や思考など高次の精神活動を担う)とは別区分であり、混同しない。
- 臨床応用: 大脳辺縁系は情動・本能行動を支配するため、その障害では怒りや恐れに伴う攻撃・逃避などの情動行動の調節に異常が生じうる。
比較表
確認問題(その場で確認・記録には残りません)
大脳辺縁系のうち、記憶と空間認識に関与し長期記憶の形成に関わる原皮質に分類される構造は、( )と歯状回である。
答えを見る
答え: 海馬
※ 確認問題はその場の理解確認用で、復習スケジュール(FSRS)には記録されません。