
この図の解説
この図は頸部の付け根を前方から見て、斜角筋のすき間を血管と神経がどう抜けていくかを示している。右下の黄色い囲みに注目すると、腕神経叢と鎖骨下動脈が「斜角筋隙を通過」とまとめられている。斜角筋隙とは、前斜角筋・中斜角筋という2枚の筋と、その下の土台となる第1肋骨に囲まれた三角形のすき間である。ここを腕神経叢(図でC5〜T1の神経根が集まる黄色い束)と鎖骨下動脈(赤い太い血管)が並んで通り抜け、上肢へと向かう。一方、鎖骨下静脈(図の下方の青い血管)は前斜角筋の前面を通るため、斜角筋隙は通過しない点が最大の注意点である。前斜角筋の前面を上下に走る横隔神経や、鎖骨下動脈から分かれる椎骨動脈・内胸動脈・甲状頸動脈(下甲状腺動脈・頸横動脈・肩甲上動脈など)の位置関係もあわせて確認しておきたい。このすき間で神経や動脈が圧迫されると上肢に痛みやしびれが生じ、斜角筋症候群と呼ばれる。
学習の要点
- 斜角筋隙は前斜角筋・中斜角筋・第1肋骨に囲まれたすき間で、腕神経叢と鎖骨下動脈が通過する。鎖骨下静脈は通過しない。
- 覚え方のコツ: 前斜角筋を境に「後ろ(斜角筋隙内)=動脈と神経」「前=静脈」と分ける。ドウミャク・シンケイは奥、ジョウミャクは手前、と前後で覚える。
- 関連知識: 鎖骨下動脈は斜角筋隙を抜ける前に椎骨動脈・内胸動脈・甲状頸動脈などを出す。椎骨動脈は脳へ、内胸動脈は前胸壁へ向かう重要な枝である。
- よくある間違い: 鎖骨下静脈も一緒に通ると誤りやすいが、静脈は前斜角筋の前を走り斜角筋隙には入らない。動脈と静脈で前後の通り道が違う。
- 臨床応用: 斜角筋隙で腕神経叢や鎖骨下動脈が圧迫されると上肢に痛み・しびれが出る。これを斜角筋症候群といい、胸郭出口症候群の一型である。
比較表
確認問題(その場で確認・記録には残りません)
腕神経叢は主に第5頸神経から第( )胸神経までの前枝が集まって形成され、鎖骨下動脈とともに斜角筋隙を通過する。空欄に入る数字を答えよ。
答えを見る
答え: 1
※ 確認問題はその場の理解確認用で、復習スケジュール(FSRS)には記録されません。