学習トップ理由で解く 解剖学第8章 ▸ J. 脊髄神経 / Q0654

理由で解く 解剖学

Q0654 神経系

出典:鍼灸 第18回(2010) 問題29
問題
下肢の神経において枝が足背に分布しないのはどれか。
選択肢
1 閉鎖神経
2 大腿神経
3 脛骨神経
4 総腓骨神経
解答
正解1(閉鎖神経)
解説
✓ 1. 誤り
閉鎖神経
閉鎖神経(L2-L4)は大腿内側に限局する神経で、運動支配は大腿内転筋群と外閉鎖筋、感覚支配は大腿内側の皮膚に限定される。下腿・足部には到達せず、足背にも枝を送らない。したがって足背に分布しない神経として該当する。感覚異常の範囲は膝関節内側付近までで、それより末梢は大腿神経の終枝である伏在神経(下腿内側)が担う。足背の感覚は主に深腓骨神経(第1・2趾間の三角形)と浅腓骨神経(それ以外の足背広範)が分担する。
✗ 2.
大腿神経
✗ 正しい。 大腿神経の終枝である伏在神経は大腿内側を下行して膝関節内側から下腿内側へ出て、足関節内側を越えて足内側縁まで皮膚感覚を分布させる。したがって大腿神経の枝は足背内側に達する。
✗ 3.
脛骨神経
✗ 正しい。 脛骨神経は下腿後面を下行し、足関節内側で内果後面の足根管を通って足底に入る。その終枝である内側・外側足底神経は足底の筋と皮膚を支配する。加えて外側足根枝や内側踵枝が足背外側・踵部にも感覚を送り、足背にも一部分布する。
✗ 4.
総腓骨神経
✗ 正しい。 総腓骨神経は浅腓骨神経と深腓骨神経に分岐し、浅腓骨神経が足背広範の皮膚感覚、深腓骨神経が第1・2趾間(指間スペース)の皮膚感覚を担当する。足背の主要支配神経であり、分布する。
ポイント
  • 下肢皮膚の主な感覚支配は、大腿前面=大腿神経、大腿内側=閉鎖神経、大腿後面=後大腿皮神経、下腿内側+足内側=伏在神経、下腿外側+足背=浅腓骨神経、足底=脛骨神経(内外側足底神経)、第1・2趾間=深腓骨神経。
  • 覚え方のコツ: 「閉鎖神経は膝より先に行かない」と距離で覚える。足背は「腓骨神経系(浅腓骨+深腓骨)」、足底は「脛骨神経系」。
  • 関連知識: 第1・2趾間の感覚消失は深腓骨神経障害に特異的で、前脛骨筋区画症候群の早期診断に用いられる。
  • よくある間違い: 閉鎖神経が下腿内側まで分布すると誤る(正しくは大腿内側まで)/脛骨神経が足底だけに限局と誤認する。
  • 臨床応用: 糖尿病性神経障害は両下腿遠位から左右対称に感覚低下が始まる「ストッキング型」で、特定末梢神経の障害分布とは異なる。
比較表
神経 由来 主な皮膚支配範囲
大腿神経(伏在神経) 腰神経叢 L2-L4 大腿前面・下腿内側・足内側縁
閉鎖神経 腰神経叢 L2-L4 大腿内側のみ(膝より末梢に達しない)
外側大腿皮神経 腰神経叢 L2-L3 大腿外側
後大腿皮神経 仙骨神経叢 S1-S3 大腿後面・膝窩上部
脛骨神経 仙骨神経叢 L4-S3 下腿後面・足底・踵
浅腓骨神経 総腓骨神経 L4-S2 下腿外側・足背大部分
深腓骨神経 総腓骨神経 L4-S2 第1・2趾間
解説画像
鍼灸 第18回(2010) 問題29|下肢の神経において枝が足背に分布しないのはどれか。 解説図
鍼灸 第18回(2010) 問題29|下肢の神経において枝が足背に分布しないのはどれか。
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