学習トップ理由で解く 解剖学第3章 ▸ D. 肺・胸膜・縦隔 / Q0250

理由で解く 解剖学

Q0250 呼吸器系

出典:あマ指 第12回(2004) 問題28
問題
呼吸器について誤っている記述はどれか。
選択肢
1 右肺は3 葉からなる。
2 左気管支は右気管支より太い。
3 肺表面は臓側胸膜で覆われる。
4 胸膜腔は陰圧である。
解答
正解2(左気管支は右気管支より太い。)
解説
✗ 1.
右肺は3 葉からなる。
✗ 正しい。 右肺は上葉・中葉・下葉の3葉からなり、水平裂(第4肋骨レベル)で上葉と中葉を、斜裂で中・上葉と下葉を分ける。左肺は2葉のみであり、右肺が3葉という記述は正しい。
✓ 2. 誤り
左気管支は右気管支より太い。
気管支の太さは逆で、右主気管支のほうが左主気管支より太く、短く、気管からの分岐角度も小さい(より垂直に近い)。右主気管支は長さ約2〜3cm、左主気管支は長さ約4〜5cmで、分岐角度は右約25度・左約45度とされる。この解剖学的特徴により誤嚥物は右主気管支へ落ちやすく、誤嚥性肺炎や気道異物は右肺(とくに右下葉)に好発する。したがって「左気管支は右気管支より太い」は誤りで、右のほうが太い(=直径が大きい)が正しい。
✗ 3.
肺表面は臓側胸膜で覆われる。
✗ 正しい。 肺表面は光沢のある薄い臓側胸膜で包まれ、裂の奥まで入り込んで各葉表面に密着する。肺門で折り返って胸壁内面を覆う壁側胸膜へ連続するが、肺の「表面」を覆うのはあくまで臓側胸膜であり、この記述は正しい。
✗ 4.
胸膜腔は陰圧である。
✗ 正しい。 胸膜腔は大気圧より低い陰圧に保たれ、肺の弾性収縮力と胸壁の外向きの力が釣り合って肺を広げた状態に保持する。この陰圧が破綻し大気圧と等しくなると肺は弾性により虚脱(気胸)する。胸膜腔が陰圧という記述は正しい。
ポイント
  • 右主気管支は左主気管支より太く、短く、分岐角度が急(より垂直)であり、誤嚥物や気道異物は右肺(特に右下葉)に落ちやすい。左主気管支は心臓を避けるためより水平に走行する。
  • 覚え方のコツ: 右気管支は「太・短・急・垂直」、左気管支は「細・長・緩・水平」の4要素で対比。「異物は右に落ちる」と臨床像で記憶。気管分岐部は胸骨角(第2肋軟骨)の高さでTh4/5相当。
  • 関連知識: 気管は軟骨輪16〜20個で前壁を支持し、後壁は平滑筋(膜性壁)。気管分岐部の隆起を気管分岐部竜骨(carina)と呼び、気管支鏡の解剖学的指標。気管支は区域気管支まで軟骨を持ち、細気管支以遠は軟骨を失う。
  • よくある間違い: 左右の気管支の太さ・長さ・角度を逆に記憶する/胸膜腔を陽圧と誤認する/臓側胸膜と壁側胸膜を混同する/「太い=長い」と思い込む(右は太いが短い)。
  • 臨床応用: 気道異物(ピーナッツ、義歯、玩具など)は右主気管支へ落ち込みやすく、寝たきり高齢者の誤嚥性肺炎は右下葉背側(S6・S10)に好発する。気管挿管で進めすぎると右主気管支に片肺挿管される事故の原因となる。
比較表
項目 右主気管支 左主気管支
太さ(内径) 太い 細い
長さ 短い(約2〜3cm) 長い(約4〜5cm)
気管からの分岐角度 急(約25度、垂直に近い) 緩(約45度、水平に近い)
異物・誤嚥の落ちやすさ 落ちやすい 落ちにくい
分岐肺葉気管支 上葉・中葉・下葉の3本 上葉・下葉の2本
解説画像
あマ指 第12回(2004) 問題28|呼吸器について誤っている記述はどれか。 解説図
あマ指 第12回(2004) 問題28|呼吸器について誤っている記述はどれか。
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